本研究は、19世紀から20世紀初頭にかけてのオスマン帝国における教育について、その実態的・社会的側面に焦点を当てて連続性と変化を明らかにすることを目的とした。その主たる成果は、オスマン帝国と隣接地域のムスリム社会における教育と出版について比較史的観点から検討した論文集である。論集は11章からなり、国家的な教育改革だけでなく、伝統的なイスラーム教育の変容、非ムスリムの教育、国境や宗派の差異を超えた出版文化などについて包括的に論じている。そのほかに、女子学校と女性教師に関する研究や、オスマン公立学校の歴史教科書の分析、識字教育についての考察などに関して成果を得た。
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