本研究では、近代中国工業の技術的基礎を、1910~50年代を期間として、教育機関による技術者養成と、彼らの企業内での活動を通して解明した。 中国での技術者養成は、中華民国成立後に本格化した。国内教育機関の不十分さから、当初は国外留学による養成に頼らざるを得なかった。紡織業の場合には、日、米、英が主な留学先となった。中でも留日技術者が質・量ともに重要な役割を果たした。それには日中の紡織業の原綿や市場が同じだったこと、主な受入先たる東京高等工業学校の体制の整備などの要因をあげられる。1930年代には、こうした留学と国内教育機関による技術者とにより技術者団体も結成され、本格的な工業化が開始される。
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