研究課題
本研究は、現代中国の56の民族の枠組みが確定される1950年代において、中国領内に暮らす各民族集団が如何に整理、認定されていったかを、旗人諸集団の動向を把握することによって分析したものである。その目的は、清朝という一つの帝国の解体から中華人民共和国というもう一つの多民族国家の組み立て過程において、規模の異なる民族集団は如何に融合集散を繰り返してきたかを明確にするものである。研究期間がスタートした平成23年度以来、清朝時代の旗人の子孫が居住する中国の東北三省、山西省、河北省や内モンゴル自治区など関連各地でフィールドワークを実施した。これらの地域では、清朝時代に八旗が駐防していたが、清朝の解体によって旗人たちは漢族集団やモンゴル族集団にそれぞれ合流し、その一部は1950年代初期の中国における民族識別期に誕生した満族やモンゴル族へ徐々に帰属を求めた。そのなかでも漢軍八期やモンゴル八旗など旗人のアイデンディティをもとにしてきた各種八旗集団の合流によって、現在の満族は人口規模一千万人を超えた数少ない少数民族となっている。本研究では、20世紀以後の旗人集団の動向を把握するためにモンゴル国や台湾などにも現地調査を実施した。そして中国、日本など関係する国や地域で文献資料の収集も行い、現地調査の成果と総合的に分析して後記の研究成果に結びづけた。平成25年度は予定していた国際シンポジウムの開催や海外における現地調査の遅れによって研究期間を一年間延期した。延期した26年度には、補足の海外調査を実施し、2015年2月15日には「軍閥と内モンゴル」と題する科研シンポジウムを開催した。この科研シンポジウムでは、それまでの研究成果をまとめると同時に、清朝時代の北方統治体制が中華民国時代に、暴力によって少数民族を支配する軍閥体制へと変貌したことを明らかにした。
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サンピルドンドブ・チョローン、胡日査、岡洋樹編『清朝とモンゴル』東北大学東北アジア研究センターCNEAS Reports
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Inner Asia, Special Issue Geopolitics and Geoeconomics of Mongolia'ʹs Natural Resource Strategy
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