研究課題/領域番号 |
23520871
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研究機関 | 島根県立大学 |
研究代表者 |
李 暁東 島根県立大学, 総合政策学部, 教授 (10405475)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 国際研究者交流、中国 |
研究概要 |
1.打ち合わせ、研究会:連携研究者飯田泰三氏、研究協力者小林共明氏と北京大学教授尚小明と打ち合わせを重ねて、留学生関係史料と研究の現状を把握できた。さらに、2月に島根県立大学で研究会を開き、中央大学教授深町英夫、小林共明が報告を行った。研究会での議論を通じて、近代日本の軍隊と中国のナショナリズムの形成の関係がより明らかになった。また、陸軍学生が創った雑誌『武学』の研究分析は重要な課題として浮かび上がった。2.海外史料調査:雑誌『武学』は、中国各地の図書館に散在しており、その収集に努めた。まず、清華大学所蔵の雑誌は確保できた。杭州図書館所蔵の雑誌は現地の研究者に依頼中。広州中山図書館所蔵の雑誌は図書館の引越のため、複製できなかった。なお、南京第二档案館で、陸軍留学生だった閻錫山に関する史料を発見したが、やはり電子化作業中につき、複製に至らなかった。今年度に期したい。3.研究成果:(1)論文など:「『改良派』梁啓超の『革命』」(『中国―社会と文化』第26号、2011年7月)、「『福沢問題』をアジアの課題へ」、『福沢年鑑 <小特集 福沢研究の課題>』38、福沢諭吉協会、2011年12月)(2)報告:「権威主義与法治之間――論厳復民初的政治思想」(清華大学日本研究中心『従世界史的角度看中国社会変化与日本-辛亥革命100周年国際学術研討会』2011年9月)、「中国における近代的アイデンティティの歴史的形成-『革命』論の展開を手掛かりに」(成蹊大学アジア太平洋研究センター共同研究プロジェクト「多元的世界の構築におけるアイデンティティの創生-アジア・中国の磁場から」第二回シンポジウム、2012年3月)、「近代中国立憲政治観の性格」(第10回日本・韓国政治思想学会国際学術会議「東アジアの歴史と思想」、2011年9月)。以上の論文や報告はいずれも近代中国や、日本のナショナリズムと関連したものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1.先行研究の勉強、研究会の開催は順調に進展している。その成果の一端として、上記のように、ナショナリズムに関連した論考を発表し、国内外の学会やシンポジウムで報告を行い、勉強、研究の成果を公表している。先行研究の勉強と中間成果報告の面では、計画以上に進展していると言って良い。2.史料収集の面では、中国国内の図書館の移転(移転そのものが済んだが、史料の開封作業が遅れている)や、史料館の電子化作業など予期せぬ事情のため、予想したほど順調ではなかった。以上の状況を総合して、全体的にはおおむね順調に進展しているといえよう。
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今後の研究の推進方策 |
1.予定通り、アメリカスタンフォード大学に所蔵する蒋介石日記に関する史料調査を実施し、台湾の国史館を中心に、蒋介石に関する史料を収集する。2.台湾中央研究院近代史研究所を訪問し、蒋介石研究専門家を訪問し、意見交換をする。3.前年度収集に至らなかった史料を引き続き収集する。4.年度の研究成果を公表し、報告する。
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次年度の研究費の使用計画 |
1.旅費:国内旅費(史料調査、研究会の出席・報告など)15万円、米国へ史料調査(スタンフォード大学、ハーバード大学)40万円、台湾へ史料調査(近代史研究所、国史館)25万、計80万円;2.物品費:関連する図書の購入、計30万円;3.人件費、謝金等:計10万円4.その他:10万円
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