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2013 年度 実績報告書

楚式鬲からみた楚文化の形成と展開及びその変容

研究課題

研究課題/領域番号 23520872
研究機関東北学院大学

研究代表者

谷口 満  東北学院大学, 文学部, 教授 (10113672)

キーワード楚式鬲 / 周式鬲 / 楚文化形成地 / 楚族の故郷 / 楚都丹陽淅川説 / 楚都郢紀南城説 / 随棗走廊の周文化 / 楚式鬲から青銅文化へ
研究概要

本研究の目的は、楚文化の指標器である楚式鬲(長江中流域を中心に流行した、先秦時代の楚国に特有な陶器)を中心資料にして、楚文化の形成と展開及びその変容を、楚国の歴史地理的展開と照合しつつ明らかにすることであり、最終年度である本26年度は、昨年度までに収集した関連資料に、新たに収集した湖北省漢水東側地域の関連資料をあわせて、既得のすべての資料を彼此検討し、次のような結論を得るにいたった。
楚国を創立した楚族は本来周文化の保持者であったと考えられるが、楚国の建国とほぼ時を同じくして、しだいに周文化から脱却して独自の文化要素を創設することとなった。周式鬲から楚式鬲への転換は、まさしくこの事情に対応しているのであり、そしてその転換がもっとも早くみられたのは、湖北省・陝西省・河南省三省交界地帯であったと想定される。つまり、楚文化の形成地にして楚国の発祥地は、この一帯であったと考えられるのである。
この転換の事情は、その後、漢水西側地域の各処においても見ることができるが、南へ下がれば下がるほど転換時期も時間的にくり下がっており、湖北省西部荊州地区では周式鬲そのものがほとんど見られない情況を呈している。このことは、楚文化が漢水西側をしだいに南下していったことを示しているであろう。そして春秋時代に入ってまもなく、楚式鬲は漢水東側地域にも姿を現わすようになり、当地の周文化をしだいに駆逐してことになるのであるが、その侵入経路は、北側からよりもむしろ南側からの路線がより主要であったと考えらる。これは、漢水下流へ通じる荊州地区が、かなり早い段階で楚国の拠点となっていたことを示しているはずである。
要するに、楚文化の形成と展開の経路は、三省交界地帯→漢水西部荊州地区→漢水東側地域南部→漢水東側地域中部であり、この経路は、楚国の政治的展開の地理的情況にほぼ正しく対応しているということができるであろう。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2014 2013 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] 談談奉節永安鎮与fu陵小田渓出土珍奇巴文化青銅器2013

    • 著者名/発表者名
      谷口満
    • 雑誌名

      重慶巴人博物館編『巴人巴国巴文化』

      巻: 1 ページ: 265-271

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 巴族的故郷与楚族的故郷2013

    • 著者名/発表者名
      谷口満
    • 雑誌名

      西南大学歴史地理研究所研究集録

      巻: 1 ページ: 1-3

    • 査読あり
  • [学会発表] 関于清華簡楚居的幾点思考2014

    • 著者名/発表者名
      谷口満
    • 学会等名
      武漢大学簡帛研究中心特別講演会
    • 発表場所
      武漢大学簡帛研究中心
    • 年月日
      2014-03-11
  • [学会発表] 関于巴史巴文化研究方法的幾点思考

    • 著者名/発表者名
      谷口満
    • 学会等名
      五省市巴文化研討会
    • 発表場所
      重慶市巴人博物館
    • 招待講演

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公開日: 2015-05-28  

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