研究課題/領域番号 |
23520873
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研究機関 | 学習院大学 |
研究代表者 |
村松 弘一 学習院大学, 付置研究所, 准教授 (70365071)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 国際研究者交流(中国) |
研究概要 |
本研究は足立喜六氏の資料を中心にその他の明治・大正期の写真などの資料を比較検討することを先ず初めの段階とする。2011年度はこの第一段階として、陝西省・西安市などの古写真のデータベース化をはかった。この作業にあたっては、別途、JSPSの外国人招聘事業にて招聘した陝西師範大学の史紅帥氏の現地での調査による画像資料も合わせてデータの整理をおこなうことができた。エクセルと画像資料の対応データベースによって約1000枚のデータ化をおこなった。これらと関連して、学習院大学に残された中国に関する絵葉書のデータを調査したが、西安の写真はなかった。戦前に日本の占領下におかれた地域の絵葉書は多くあったが、西安地域は日本軍の侵攻を免れたために絵葉書が作成されなかったのか、今後、絵葉書資料の作成についても検討がなされるべきであろう。また、本研究と関連して、その背後にある近代の中国・日本・欧米の関係についても調査し、一部を報告した。(1)「明治-昭和前期、学習院の中国人留学生-学習院アーカイブズ所蔵資料から」(辛亥革命100周年記念特別講演会「近代日中教育交流をめぐって」、学習院大学、2011年10月)-明治期の日中の教育交流を知るために、学習院大学の資料を事例に留学・教習などについて報告。 (2)「引き裂かれた唐昭陵「六駿」-ペンシルバニア大学アーカイブズ資料から」(国際シンポジウム「見せるアジア、見られるアジア-近代国家と博物館・博覧会」学習院大学、2012年1月)-西安の文物の海外流出についての調査を報告(3)「近代日中交流史のなかの「学習院」-人・文物・書籍」(香港中文大学日本研究学科講演会、香港中文大学、2012年3月)-学習院大学の人・文物・書籍の移動を軸に明治期の日中交流を報告
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では足立喜六氏の遺品資料を中心に明治・大正期の日本人の中国に対する意識を見ることを目的としている。これまでの研究では、足立喜六氏の遺品資料の本格的な調査をすすめるための基礎固めとしての関連資料とくに写真資料の収集・データベース化をすすめた。この点においては、1000枚以上のデータが収集できたことは今後の調査のために役立つものと考えられる。その一方で、本年度予定していた足立氏の資料の再調査については時間を取ることができなかった。次年度以降にデータベースの写真資料との照合をおこないつつ、調査を本格的に進展させたい。しかしながら、明治・大正期の日中教育交流の側面の報告や西安の文化財の海外流出に関する研究報告をおこなうに際して、関連資料を再度調査した。このことは来年度以降の本調査に大きく役立つと思われる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は本年度整備した西安古写真データベースと足立氏の資料を比較して調査するとともに、更にデータベースの充実化をはかってゆきたい。本来であれば本年度に足立氏宅にて調査する予定であったが、調整がつかなかったため、次年度に足立氏の遺品資料の再調査をおこない、写真資料のみならず、手書き資料などの調査もすすめる。また、これらの刊行及び展示について遂行する。
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次年度の研究費の使用計画 |
国内旅費(足立氏宅調査)20万、運搬費20万、関連書籍50万、海外調査旅費30万円資料保管箱10万、調査協力謝礼60万円
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