研究課題/領域番号 |
23520873
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研究機関 | 学習院大学 |
研究代表者 |
村松 弘一 学習院大学, 付置研究所, 教授 (70365071)
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キーワード | 中国 / 文物 |
研究概要 |
2013年度は足立喜六氏資料に関連して二つの方向から研究をすすめた。 ひとつは100年前に西安から海外に持ち出された唐昭陵「六駿」の移動史を現蔵先の米国のペンシルバニア大学考古学博物館アーカイブズの資料をもとに明らかにする研究である。これについて『世界の蒐集-アジアをめぐる博物館・博覧会・海外旅行』(共編著書、村松弘一・伊藤真実子編著、福井憲彦監修、山川出版社、2014年2月)として刊行した。20世紀初頭欧米で活躍した中国人骨董商C.Tルーが文物移動の仲介人であったことがわかった。 もうひとつは近代のアジアにおける文物移動史に関する研究をすすめた。特に関連資料として学習院大学所蔵の文物資料に焦点をあてた。学習院に文物を売却したのは江藤濤雄という人物が西安付近に居住し、薬草販売のかたわら中国の文物を海外に販売していたことなどがわかった。この点については『東洋学の歩いた道』(共著書、学習院大学・永青文庫・東洋文庫連携展示図録、学習院大学、2013年8月)として刊行するとともに、「アジアを学ぶ-近代学習院の教育 ~人と人とのかかわりから~」(学習院大学史料館講座)にて報告した。これらの成果は特別展覧会「アジアを学ぶ-近代学習院の教育から」(学習院大学史料館展示室、2013年10月~12月)の準備のための調査によるところが大きい。 2013年度は足立氏資料そのものというよりも、彼が生きた時代の文物移動史を探ることに焦点をあててすすめたこととなる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究をすすめるなかで2013年度は学習院大学所蔵の資料と比較しての明治期の文物移動史、ペンシルバニア大学アーカイブズ資料を利用した西安の文物の移動史を中心的なテーマとして研究をすすめた。足立氏所蔵の資料そのもの調査をすすめることが予定以上に時間がかかっているため、延長を申請した。
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今後の研究の推進方策 |
足立喜六氏の資料の調査をできるだけ早く整理し、成果を挙げる予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究をすすめるなかで2013年度は学習院大学所蔵の資料と比較しての明治期の文物移動史、ペンシルバニア大学アーカイブズ資料を利用した西安の文物の移動史を中心的なテーマとして研究をすすめた。そのため、足立氏所蔵の資料の調査をすすめることが予定以上に時間がかかり、結果として次年度使用額が生じる結果となってしまった。 2014年度は、資料整理のための謝礼金70万円、資料購入60万円、旅費20万円を予定している。
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