100年前、中国の古都・西安に日本人教習として滞在した足立喜六の著書『長安史蹟の研究』には100枚をこえる写真が掲載されている。さらに、近年、足立喜六の親族の所蔵する足立喜六遺品資料が発見された。これまの公刊された資料と足立氏遺品資料を比較・検討し、100年間の西安・中国の文物保護史を考察した。特に、ペンシルバニア博物館所蔵の六駿に注目し、中国人骨董商を介して購入したことなどを示し、20世紀初頭において中国国内の文物保護政策が整備されていなかったこと、海外の中国文物のコレクターや美術館があったこと、グローバルに活躍する骨董商がいたことなどが、中国文物の海外流出につながったと考えた。
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