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2011 年度 実施状況報告書

中国古代地理情報システムの基礎的研究-天水放馬灘秦墓地図を事例として

研究課題

研究課題/領域番号 23520874
研究機関慶應義塾大学

研究代表者

桐本 東太  慶應義塾大学, 文学部, 教授 (60205044)

研究分担者 村松 弘一  学習院大学, 付置研究所, 准教授 (70365071)
研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワード国際研究者交流(中国)
研究概要

平成23年度の研究は計画に即し、天水放馬灘秦墓出土地図の解明のため、『山海経』(桐本)および『水経注』(村松)の再検討をおこなった。桐本は『山海経』について、これを再読し、特に西海経に神話的資料が多く含まれていることを発見し、当時の中国人の地理観念の中で、特に西方が重視されていたことを認識した。なお『山海経』は版本によって字句の移動が多いので、同書の十種類の版本を購入、または図書館で閲覧し、字句の異同を確認した。また『穆天子伝』は従来『山海経』に性格がきわめて類似しているとされる書物であり、これを研究会で講読し、訳注を作成し、その一部を出版した。村松は天水放馬灘秦墓出土地図の示す地域について、従前の諸研究をまとめるとともに、当該地域と考えられる藉水・西漢水に関する『水経注』およびその他の地理書の再検討をすすめた。両者の研究の報告を兼ねて、2012年4月には中国・西北大学の徐衛民教授、愛媛大学の藤田勝久教授、学習院大学の鶴間和幸教授を招聘し、シンポジウム「早期秦文化と天水地区」を開催した(慶應義塾大学)。シンポジウムでは藤田氏からは地図について、放馬灘秦墓の出土資料・文物全体から地図の意味を読み取るべきであること、里耶秦簡に地方官の役割に境界における物産を把握することなどの記載があり秦代のほかの出土資料も活用すべきであるとの指摘を受けた。また、徐氏からは早期秦文化の最近の発掘状況、特に李崖遺跡の紹介があった。鶴間氏からは天水地区特に礼県の塩や鉱物(金を含む)などの物産の秦における意義を考えるべきとの指摘を受けた。今後はシンポジウムの指摘を参考にさらに研究を深める予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究の目的では以下の3点を挙げた。(1)放馬灘地図はどこの地域の地理情報を蓄積したものか。-放馬灘地図の示す領域の解明(2)天水放馬灘秦墓の墓主である地方官吏は何をする役人であったのか。-地方官吏と地理情報システムの解明(3)地図から地理書をどのように作成したのか-古代における地理情報と管理。これらの課題に対応するため、『山海経』『水経注』などの地理書および天水放馬灘秦墓地図を再検討し、その成果をシンポジウムという形で報告し、他の専門家の意見をお聞きした。その指摘をさらに進展させたい。

今後の研究の推進方策

二年目は、まず、『山海経』および『水経注』のデータ・ベース化を進める(桐本・村松)。また、放馬灘秦墓出土地図の分析をすすめ、とくにコロナ衛星を活用して、当該地域の河川の流れと出土地図を画像を合わせて変化させて画像分析をすすめる(村松)。また、シンポジウムの指摘を受けて、里耶秦簡等の出土資料の分析を並行してすすめる(村松)。これと関連して出土文字資料の専門家である中国・武漢大学の陳偉教授を訪問し、共同研究を行う(桐本)。

次年度の研究費の使用計画

本年度の残額は年度末に中国からの研究者招聘の際の差額によって生じた。次年度、当該研究者等から得る専門的知識の提供に関する謝礼金として使用する。(消耗品)衛星写真(データ)105,000  図書(一式)200,000 (旅費)海外    150,000  国内        50,000 (謝礼)資料整理     75,000  専門的知識の提供70,000 (その他)印刷費     50,000  通信運搬費50,000

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2012

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 穆天子伝訳注稿(1)2012

    • 著者名/発表者名
      桐本東太(共著)
    • 雑誌名

      史学

      巻: 80-4 ページ: 377-437

    • 査読あり
  • [学会発表] 秦史における天水放馬秦墓出土地図2012

    • 著者名/発表者名
      村松弘一
    • 学会等名
      シンポジウム「早期秦文化と天水地区」
    • 発表場所
      慶應義塾大学
    • 年月日
      2012年4月21日
  • [学会発表] 秦漢時代の遺跡と地理環境2012

    • 著者名/発表者名
      村松弘一
    • 学会等名
      香港中文大学日本研究学科招聘研究者特別講演会(招待講演)
    • 発表場所
      香港中文大学
    • 年月日
      2012年3月8日
  • [学会発表] 歴史学と人類学の接点(中国語)2012

    • 著者名/発表者名
      桐本東太
    • 学会等名
      中国・中山大学国際シンポジウム
    • 発表場所
      中山大学
    • 年月日
      2012年3月28日
  • [図書] 『アジアにおける「知の伝達」の伝統と系譜』(「漢代画像石研究より見た魏晋画像磚の図像解釈についての二・三の憶説」)2012

    • 著者名/発表者名
      桐本東太(共著)
    • 総ページ数
      63-73
    • 出版者
      慶應義塾大学言語文化研究所

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公開日: 2013-07-10  

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