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2012 年度 実施状況報告書

前近代中国における官僚社会史の史料学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 23520884
研究機関大阪経済法科大学

研究代表者

伍 躍  大阪経済法科大学, 公私立大学の部局等, 教授 (60351681)

キーワード国際情報交流 / 東洋史 / 中国史 / 科挙 / 官僚 / 社会史 / 同官録 / 捐納
研究概要

本研究の意義は、これまでほとんど利用されていない前近代中国の官僚の個人履歴集である「同官録」を収集して目録を作成し、その内容をデータベース化することを通じて、前近代中国社会における官僚社会の実態、つまり官僚たちを取り巻く社会環境および官僚の登用や昇進などを含む人間の社会移動(social mobility)の実態を明らかにすることにある。
本研究の第二年度にあたる平成24年度には、平成23年度での調査から得た書誌情報をもとに、海外、とりわけ中国の上海、北京、広州などの図書館などを中心に前近代中国の官僚の個人履歴集である「同官録」の所蔵状況を引き続き調査し、資料性の高いと認める、『湖北簡明官冊』をはじめ、数点の「同官録」を写真複写による収集を行った。
過去の調査で収集した『江蘇同官録』の履歴資料を解析し、19世紀末の江蘇省にいる現職官僚と候補官僚、のべ435余名の出身県籍、出身資格、年齢、ポスト、任官資格の取得方法、家族(曽祖父、祖父、父、妻の父)の出身資格と任官資格、および家族構成のデータを得ることができた。このほか、「同官録」を読み、解題を執筆することも開始した。
こうした研究を通じて、19世紀末の中国社会において、官僚になった者の出身、資格などについては知ることができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の研究計画においては、平成24年度の目標は、前近代中国の社会移動、つまり官僚登用と官僚昇進についての研究を移すことにある。この目標は、ほぼ達成していると考えている。主な理由は2点ある。
①昨年度の調査から得た書誌情報に基づき、海外、とりわけ中国の主要図書館に赴き現物の確認作業をした。これまでまったく紹介、利用されていない「同官録」の調査収集をすることができた。
②昨年度に引き続き、『江蘇同官録』に収録されている官僚の履歴をデータ化し、その解析作業を行い、一定の成果を得ることができた。
以上のように、本研究が目指している「同官録」に記録されている官僚個人履歴に含まれる種々の情報を解析し、前近代中国における官僚登用と官僚昇進の実態をルート別(①科挙制度=「正途」、②捐納制度=「雑途」、③「正途」と「雑途」の併用)に明らかにすることができて、当初予定の目的をほぼ達成したと考えられる。

今後の研究の推進方策

平成25年度においては、当初の研究実施計画に基づき、「過去2年度にわたり十分に調査収集できなかったものについて継続して調査収集する」。調査先については、昨年の調査収集の結果をさらに分析して決めたい。そのうえ、主要図書館の「同官録」の所蔵目録(仮題)を作成する。
過去2年度に引き続き、「同官録」の官僚履歴資料をデータ化し、その解析整理を行う。そして、官僚個人の出身資格および昇進資格の取得経緯、および官僚の家族構成と姻戚関係を中心に行いたい。

次年度の研究費の使用計画

平成24年度に交付された研究費1,400,000に、平成23年度の未使用額102,177円を加えて、総額は1,502,177円である。使用した額1,467,499円で、未使用分の額は34,678円である。未使用分が発生した主な原因は、中国の南京図書館で複写したい資料を結局、図書館側の規定によりそれをすることができなかったことにある。
平成25年度中、交付予定額の1,100,000(直接経費)と上記未使用分の34,678円、計1,134,678円の使用計画は以下です。
部品費224,678円、調査旅費350,000円、人件費・謝金280,000円、その他(資料複写費・資料購入費など)280,000円。
以上。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2012

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件)

  • [雑誌論文] 捐納制度研究的回顧與思考2012

    • 著者名/発表者名
      伍躍
    • 雑誌名

      明清論叢

      巻: 12巻 ページ: 47-74

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 明朝初年的福建沿海巡検司2012

    • 著者名/発表者名
      伍躍
    • 雑誌名

      輿地・考古與史学新説

      巻: 図書 ページ: 174-198

    • 査読あり

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公開日: 2014-07-24  

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