研究課題
本研究課題「遼史の再構築ー契丹文墓誌を主資料としてー」は、前著『契丹文墓誌より見た遼史』(松香堂、2006)公刊後の新資料の増加、研究の深化を踏まえ、墓誌出土地の現地調査を通じて、確実な知見を蓄積することで、『遼史』の枢要部分に対する全面的な再検討を試みるものである。本年度は研究計画の最終年度であり、前年度の調査研究を継続して、新出墓誌の報告された地区において現地調査を行い、出土資料の収集、分析に基づき、それに反映される文献史料だけでは未解明であった諸問題の解明に取り組んだ。本年度においては、以下のような作業を進めた。①これまでに実施した契丹に関する歴史学的作業に基づき、新出考古学的資料と関連文献の記述を比較検討し、前年度に収めた研究成果に引き続き、『遼史』の列伝に重点を置いてその再構築に取り組んだ。②中国内蒙古自治区敖漢旗人民政府及び敖漢旗博物館・新州博物館の協力で、日中合同「契丹発祥地の考古学的調査研究」を組織し、契丹遙輦可汗の本帳所在区域を4回にわたり調査し、豊富な収穫を収めた。③これまでに実施した契丹に関する言語学的作業に基づき、新出契丹文墓誌の解読・翻訳を進め、契丹大字1028字(異体字を数えない)の内839字、契丹小字345字(異体字を数えない)の内310字の解読を達成した。現在までに発見された契丹大字墓誌16件と契丹小字墓誌43件の原文をローマ字に転写したのち、対訳・意訳を附することで、『契丹大小字石刻全釈』という膨大な研究成果が獲得された。以上の作業に併行して、遼代契丹人に関係する漢文墓誌をリストアップし、あらためて原石との比較検討を行い、最新の注釈をつけたことによって、今後の継続的な『遼史』研究に資する。
すべて 2013 その他
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 2件) 備考 (2件)
立命館文学
巻: 632 ページ: 1-36
中国契丹文化研討会論文集
ページ: 1-8
巻: 633 ページ: 16-62
Current Trends in Altaic Linguistics: A Festschrift for Professor Emeritus Seong Baeg-in on His 80th Birthday. Seoul: Altaic Society of Korea
巻: 1 ページ: 339-404
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