4世紀中葉以降の帝国と教会との確執は異教対キリスト教という宗教的対立ではなく、何よりも公役負担ないし課税という財政上の理由によるものであった可能性が高い。時代の経過と共に進捗する教会の富裕化(富裕異教徒の教会入会)が教会に対する帝国の姿勢に変化をもたらしたようである。富裕者入会禁止措置が実効性に欠けていたため、コンスタンテイヌス以降の諸皇帝は逆に積極的に入会を強制し、その代わりに彼らに財政負担を課し、官職さえ独占させることで、帝国の再編業務に関与させたのである。4世期後半、多くの信徒が異教に再改宗し、テオドシウス帝がこれを阻止するための措置をとった事実も上述の政策変更に論理的に整合する。
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