研究課題/領域番号 |
23520895
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
青木 恭子 富山大学, 人文学部, 准教授 (10313579)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 近代史 / 移住研究 / 国際研究者交流 / ロシア / シベリア |
研究概要 |
本年度は、ロシア国立歴史文書館とロシア国立図書館にて約3週間の資料収集を行った。本研究の主目的は、帝政末期のロシアにおいて、ヨーロッパロシアからウラルを越えたアジアロシア(シベリア・極東・中央アジアを総称する地理的概念)への農民移住が実際にどのように行われていたのか、統計資料等に基づいて再現することにある。1880年代以降、アジアロシアへの移住・入植の推進は、帝政ロシア政府にとって重要な国家的事業となっていた。しかしながら、もう一方の当事者である移住農民自身は、決して政府側の思惑通りには動かず、自らに内在する論理に基づいて行動していたと考えられる。そのような移住農民の実際の動きを把握することは、移住政策を立案する政府にとって必要不可欠なものであり、そのことは、移住や入植に関連する統計資料が数多く公刊されているという事実にも反映されている。 当初の研究計画では、詳細な移住統計分析資料集が公刊されていない年度(1908-1912年)のものを中心に、ロシア国立歴史文書館に所蔵されている未公刊の移住統計データを、3年間で収集し分析する予定であった。ところが、実際に閲覧してみると、その未公刊統計データは期待されたほど詳細な情報を含むものではないことが明らかになった。そのため、3年かけて行うはずのデータ処理は、既に今年度で完了してしまった。残念ながら、このことは同時に、データの絶対的不足を意味するものである。そこで、他の統計資料(刊行物)、未公刊の行政文書といった一次資料の収集を継続し、帝政期のロシアで最も重要な国家統計である『1897年第1回ロシア帝国人口調査』(マイクロフィルム)も購入した。 本年度は資料の収集を中心に活動を行ってきたため、集めたデータの分析はまだ途上である。次年度は資料収集と並行してデータ分析も進める。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「研究実績の概要」の中でも述べたように、3年間で予定していた未公刊統計データの収集作業は、今年度の出張で既に完了した。ただしこのことは、分析に必要なデータが十分に集まったという意味ではない。資料収集活動は引き続き行っており、全体として、おおむね順調に資料は集まりつつある。
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今後の研究の推進方策 |
今年度と同様に、次年度も引き続き、農民移住に関する資料を収集し分析する。これまでと同様に、現地での資料収集が主たる活動となる。具体的には、ロシア国立歴史文書館では未公刊の行政文書等を閲覧・収集し、ロシア国立図書館では統計資料集その他の刊行物から資料を集める。さらに次年度は、資料を収集するだけではなく、その分析も重点的に進め、論文としてまとめる準備をする。
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度とほぼ同様に、次年度も9月に3週間程度の外国出張(ロシア)を計画している。次年度の研究費の約75%は、このための出張旅費として使用する計画である。残る25%は図書の購入に充てる。
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