近代主権国家併存体制の先駆とされた17世紀のイタリアについて、神聖ローマ皇帝とその封であるイタリア諸侯国間の関係(帝国イタリア)を、プロソポグラフィー中心に調査し、皇帝・スペイン王のクライアント諸侯が形成した人的ネットワークを介して、国家間の平和維持組織として機能したことを発見した。よって帝国イタリアは、皇帝軍の進駐によって皇帝による直接統治が展開される17世紀末まで、皇帝裁判権とミラノ公国(スペイン)の執行権の下、特定の人的ネットワークによって構築された非主権国家的な政治システムとして機能したのであり、当時のイタリアが一般に言われる主権国家併存体制の先駆的形態ではないことを論証した。
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