研究課題/領域番号 |
23520900
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
長井 伸仁 徳島大学, 大学院ソシオ・アーツ・アンド・サイエンス研究部, 准教授 (10322190)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | フランス / 移住 / 都市 / 同郷会 / 選挙 / 近代史 / 現代史 / 西洋史 |
研究概要 |
本年度の研究実績は二つに大別できる。第一に、研究課題に関連する先行研究を分析したこと、第二に、現地図書館・文書館での資料収集をおこなったことである。第一の点については、歴史学のほか社会学など隣接諸分野の研究も収集・閲覧し、それを通じて研究の視座の妥当性を確認した。第二の点については、平成23年7月下旬から8月中旬にかけて、フランス・パリで実施した。まずパリ警視庁文書館では、第三共和政前期(1870-1914年)にパリ第5区・11区・14区でおこなわれた選挙について、候補者のポスター・ビラ類、および警察による選挙運動監視報告を閲覧した。ついでフランス国立図書館では、さまざまな同郷会が刊行する新聞・会報類を調査した。 この第一回目の資料調査は、十分な量の資料を発見できなかったという点で、今後に課題を残すものとなった。パリ警視庁文書館の選挙関連資料はBA系列に体系的に保存されているが、同郷会に関するものは、当初想定していた以上に少なかった。他の資料からは同郷会の活動自体が決して低調ではなかったことが示唆されているので、資料の残存の問題である可能性が高い。他方、フランス国立図書館で調査した定期刊行物については、同図書館での保存状態が良くないため、閲覧申請の大半が謝絶された。 このような課題はあるにしても、研究の問題設定と方向性には大きな問題はないと考えられること、今年度の調査サンプルがパリ全20区のうち3区のみと限られていたことから、24年度は対象となる地区を広げる方向で研究を進める計画である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上の「研究実績の概要」でも述べた通り、現地での資料調査の成果は、これまでのところ量的にはやや少ない。ただし、この問題は調査対象地区を広げることである程度まで解決できるものであり、残る2度の現地調査でそれを達成できるものと考えられる。この点を除けば研究は計画通りに進められている。
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今後の研究の推進方策 |
上記「研究実績の概要」および「現在までの達成度」にも記したとおり、研究の方向性はこれまで通りで妥当であると考えられる。現地での資料調査の範囲については、対象地区を広げて資料を量的に増やす必要がある。
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次年度の研究費の使用計画 |
(1)24年度への繰り越し額の発生は、23年度夏に収集した資料の分析に時間を要したことがおもな理由である。(2)23年度中に実施する予定であった第2回資料調査は、24年度夏期に実施する。繰越額については、その際の出張旅費に充てる。また、24年度冬期には第3回の資料調査をおこなう予定である。その出張旅費は24年度請求分を充てる。
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