クリュニーに残されている石造の中世町家は、1階にゴシック式尖頭アーチからなる開口部、2階にロマネスク式の2連窓を備えた、特徴的な家々である。このような様式の町家は、個人の店舗兼住宅であり、おそらくクリュニー修道院の主導下に、クリュニー以南のサンティアゴ巡礼路沿いの都市にも数多く建てられた。 他方、1階にゴシック式尖頭アーチ列をもつ大型公共建築物は、同巡礼路以外の都市でもヨーロッパ各地に存在する。クリュニー型個人住宅と合わせて、これらの世俗建築物は、ロマネスク式とゴシック式の教会建築の影響下に建てられたものであり、そこに、古代ローマ建築と中世ヨーロッパ建築との接点を見出すことが出来る。
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