西地中海域に移住したギリシア人の実態を考察した結果、当初の状況は母市が組織的・計画的に植民を実施したのではなく、暗黒時代末期以降に三々五々、移住した人々が時間の経過とともにネットワークを構築して一定規模のコミュニティに成長しており、それは純粋なギリシア人だけのコミュニティではなく、現地の人々も受入れたり混交したりし、自らのアイデンティティをギリシア人とする場合もあった状況が明らかになった。このような認識をするためには、考古学や理論的アプローチも適用してギリシア人、現地人それぞれの変化、そしいて両者の関係の変化のダイナミズムを通時的に考慮する必要も示した。
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