本研究では、16世紀から19世紀を対象に、中国各地の窯址出土陶磁と沈没船引揚げ陶磁、各地の遺跡で発見された中国陶磁の比較研究を実施した。 景徳鎮窯、章州窯、徳化窯、宜興窯、広東諸窯を調査し、これまで不明確であった18-19世紀の景徳鎮窯と徳化窯の製品の差異を明確化したほか、福建・広東産とされていた17世紀前半の粗製磁器が景徳鎮窯製品であることを確認、18-19世紀の産地不明の貿易陶磁が広東省の石湾窯や潮州窯の製品であることを明らかにするなど、貿易陶磁の産地同定研究を大きく進展させた。また、アジアや北アメリカで出土した該期の中国陶磁を調査し、中国陶磁流通システムを解明するための基礎資料を得た。
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