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2013 年度 実績報告書

秦漢墓の成立からみた秦漢帝国の支配体制の研究

研究課題

研究課題/領域番号 23520929
研究機関成城大学

研究代表者

小澤 正人  成城大学, 文芸学部, 教授 (00257205)

キーワード中国考古学 / 秦漢時代 / 墓制
研究概要

25年度は洛陽地区の墓葬を検討した。洛陽地区では戦国後期には木槨木棺墓に礼器系飲食器(鼎・豆・壺)を副葬するのが一般的であった。秦代には洞室墓が導入され、副葬飲食器も鼎・盒・壺といった西安地区と同一のものに変化した。秦代の墓制は前漢前期・中期にも継承されるが、漢系壺が副葬されるようになるなど、漢墓の特徴が徐々に浸透することが窺えた。
本研究では西安地区、洛陽地区、長江中流域で戦国後期から前漢中期までの小型墓葬を対象に検討を加えてきた、その結果以下の点が明確になった。(1)戦国後期の小型墓は木槨木棺墓で礼器系飲食器を副葬するのが一般的であった。ただし礼器系飲食器の器種には地域差が見られた。(2)秦の統一により、各地の墓制には変化が生じたが、その顕著な変化は副葬飲食器に現れた。すなわち戦国時代までの各地の礼器系飲食器は断絶し、秦の中心地であった西安地区の器種(鼎・盒・壺)、または地域色が強い日用器が副葬されるようになった。(3)前漢前期・中期は基本的には秦の墓制を継承するが、漢式壺が各地で副葬されるなど、墓制の地域差が解消される方向性が認められた。
以上の墓制の変遷から、秦代から漢代にかけての統治を以下のように考えることができる。(1)秦代に入るとそれまでの国別の礼器系飲食器に断絶が生じたが、その背景には、礼器により自らの社会的な地位を表現していた各国の支配階層が消滅したことが考えられる。ただし秦代の副葬飲食器には秦の中心地であった西安地区の器種がそのまま持ち込まれる地域と地域色が強い日用器が副葬される地域があり、秦の支配にも地域的に強弱があったことがわかる。(2)前漢の墓制は基本的には秦代のものが継承されるが、徐々にではあるが墓制の地域差は解消される方向性が認められた。この背景には漢の支配はゆるやかではあるが着実に浸透していったことがあると考えられる。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2014 2013

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] 江漢地域における秦墓の成立2014

    • 著者名/発表者名
      小澤正人
    • 雑誌名

      飯島武次編『中華文明の考古学』(論文集)

      巻: 巻なし ページ: 135-155

  • [雑誌論文] 湖北省襄樊市王坡遺跡における墓葬の変遷とその背景2013

    • 著者名/発表者名
      小澤正人
    • 雑誌名

      『成城文藝』

      巻: 225 ページ: 36-89

    • 査読あり

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公開日: 2015-05-28  

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