研究課題/領域番号 |
23520933
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
栗島 義明 明治大学, 公私立大学の部局等, 研究員 (60445864)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | ヒスイとコハク / 威信財 |
研究概要 |
縄文時代を通じて様々な装身具が用いられた事実がある。しかし、それぞれの機能や役割については不明な部分が多い。特に中期に盛行するヒスイやコハクを用いた大珠については、産地が限定されているにもかかわらず製品は東日本の全域に及んでいる。これはヒスイやコハクなどの貴石製品が希少財として社会的に認知されて交易されていたことを示している。この分布実態を精査していゆくと、原産地以外では製品がきわめて少数・単数の出土であることが判明し、集団の全ての人が身につけるものではなく、特定人物のみが身につけることのできる一種の威信財、集団内での位階を示す装置として機能していた可能性がたかい。 こうした研究見通しのなかで平成23年度は関東地方におけるヒスイ・コハク製品の集成をすすめ、地域的な分布状況や遺跡内での副葬状況が明らかとなりつつある。これらの希少財が遺跡単位で交換・交易されるものではなくて、地域を単位としてその入手・確保、そして分配がなされていた蓋然性のたかいことが導きだされた。次なる研究は遠隔地との財交換を巡る交易・交換の体系的な形態把握へと照準を絞ることが可能となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の初年度ということもあり、地域単位の資料集成にやや苦慮した。各県を単位として資料やその報告書が分散していることから、資料確認や文献集成に手間がかかってしまった。しかし、現在では関東地方の研究にはほぼ目処がたっており、24年度中には当初の予定通りに中部地方から北陸地域までを視野にいれた研究実施へと赴ける見通しがたった。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の前半分には関東地方に於ける資料検討に目処をつけると同時に、集落内での威信財の扱われ方、即ち、縄文社会に於いて身を飾った人がどの様な地位にあり、社会的にどんな扱いがなされていたのか、その具体的な検討を集団墓の検討を実施するなかで明らかとする。ヒスイ・コハクの財が身につける人物の身分とどんな結びつきにあったのか、墓や人骨の出土例の多い関東での分析を基礎として、一定のモデルを構築しておこうと思う。そのモデルをもって中部日本の集成・分析を進めてゆきたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
中部日本並びに東北と北海道地域に於けるヒスイ製品の分布状況や集落(特に墓地)内での出土状況の集成を進める。こうしたデータを基として、最終年度には研究成果を基礎として「縄文時代に於ける威信財の交易」と言ったテーマでシンポジューム等の機会を設けて、公開討議すると共に公表することを予定している。
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