研究課題/領域番号 |
23520934
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
寺崎 秀一郎 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (90287946)
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キーワード | ホンジュラス / マヤ / 考古学 / 国家形成 / 階層化 / 政治経済組織 |
研究概要 |
2012年8~9月の期間、ホンジュラス共和国、コパン県ラ・ヒグア市所在のエル・プエンテ遺跡において、発掘調査、および建造物の修復をおこなった。発掘、および修復の対象としたのは、同遺跡中心グループの西端に位置する建造物6である。同建造物は居住用マウンドであることが以前の調査から明らかになっており、上部構造については荒石積みの疑似アーチ構造を備え、4メートルを超えるベンチをもつ主室とその両側の副室も確認し、一時的な保存処理を施してあった。当該建造物は、同遺跡最大のピラミッド型建造物(建造物1)の西側正面に位置しており、その占地やベンチの規模などからもエル・プエンテ遺跡の支配者層との相関が強く示唆されるものである。そこで、本年度は、この居住用マウンドに伴う埋葬を確認するための基壇構造の解明に主眼を置いた。 その結果、三段の基壇からなり、最底辺の基壇は階段状になっているものの、二段目からは階段の位置が中央部のみに狭まっていくことを確認できた。ただし、この上部構造へのアクセスとなる階段は、残存状態が悪く、三段目の基壇上では、同じ幅で続くのか、あるいは、さらに狭まるのかを明らかにするには至らなかった。また、基壇上の漆喰面も損傷が激しく、部分的に確認できたのみである。 また、エル・プエンテ遺跡をはじめとしたコパン政体の二次センターとコパン遺跡そのものの関係を検証するために、同遺跡出土の人物像型香炉とコパン遺跡の埋葬XXXVII-4出土人物像型香炉の比較研究をおこなった。 同じく、コパン遺跡中心グループ北側に位置する10L-22、23グループから採取した炭化物試料の年代測定、および、同試料の樹種同定もおこなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2011年度の調査の停滞が未だに影響しているが、さらに2012年9月より、学内の役職に就いた関係で、調査のための渡航が予定していた回数を確保できなくなったことも遅れを取り戻すことができなかった要因と思われる。
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今後の研究の推進方策 |
【現在までの達成度】において示したとおり、2013年度の渡航についても1回が限度と考えられる。また、2012年度の発掘調査の結果、エル・プエンテ遺跡建造物6は大規模な発掘の必要性も指摘できることから、少なくとも建造物正面部分については、全面発掘、ならびに埋葬の有無を確認するためのトレンチ調査をおこなわなければならない。併せて修復計画も立案しなければならないため、2013年度はエル・プエンテ遺跡における調査に集中し、過去の調査成果も含め、改めて南東マヤ地域における古代マヤ、とりわけ古典期後期を中心とした社会の形成と発展についての基礎的データの充実を図る予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
2013年度については、渡航費、ならびに発掘調査に従事する現地作業員の賃金を中心に支出する予定である。また、成果報告書の印刷製本費も計上する。
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