研究課題/領域番号 |
23520938
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研究機関 | 大阪大谷大学 |
研究代表者 |
犬木 努 大阪大谷大学, 文学部, 教授 (40270417)
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キーワード | 日本考古学 / 古墳時代 / 古墳 / 埴輪 / 工人 / 手工業生産 |
研究概要 |
畿内中枢部における埴輪生産組織の実態解明には、各古墳出土埴輪の悉皆的な調査研究を必要とする。今年度は主に下記のような調査研究を実施した。 ①宮内庁書陵部所蔵の大阪府堺市百舌鳥御廟山古墳出土埴輪について、数回にわたって調査研究を実施し、観察・計測・写真撮影・拓本採取を行うとともに、平成23・24年度に実施した同古墳の調査研究の成果も合わせて、分析検討を行った。 ②京都府城陽市所在・久津川古墳群出土埴輪の調査研究の一環として、山道東古墳出土埴輪の調査研究を実施した。同古墳出土埴輪の観察・計測・写真撮影を行うとともに、胎土分析のための試料を採取し、蛍光X線分析を実施した。 ③畿内型埴輪が地方に波及した典型例として、宮崎県西都市西都原古墳群出土埴輪の調査研究を実施し、宮崎県教育委員会所蔵資料についての補足調査を実施した。主な作業内容は、作業未了であった一部資料についての観察・計測・実測・写真撮影・拓本採取作業である。このほか、これまでに作成した実測図のトレース作業を進めた。 上記について、いずれも連携研究者や研究協力者の協力を得ながら調査研究を進めることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度の研究活動において、畿内中枢部の埴輪生産組織の実態解明に向けて、百舌鳥御廟山古墳および久津川古墳群出土埴輪の調査研究を順調に進めることができた。ただし、本年度中に本研究の研究成果報告書を刊行する予定であったが、百舌鳥御廟山古墳出土の大量の埴輪の調査研究および久津川古墳群出土の大量の埴輪の調査研究について、予想以上の時間を要したため、本年度中の刊行は難しいと判断し、平成25年2月15日付で「補助事業期間延長」を申請した。なお、同3月19日付で「補助事業期間延長」が承認されている。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度においては、百舌鳥御廟山古墳出土埴輪および久津川古墳群出土埴輪の調査成果をまとめるとともに、畿内型埴輪が地方に波及した典型例として、宮崎県西都市西都原古墳群出土埴輪のうち、宮内庁書陵部、京都大学考古学研究室、宮崎県立西都原考古博物館に所蔵されている埴輪についての調査研究成果を含めて、本研究の研究成果報告書を刊行する。「補助事業延長」に伴い本年度に繰り越すことになった助成金は、ほぼ全て、研究成果報告書の印刷費として使用する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度において、未使用額が発生した第一の理由は、本研究の主たる調査対象である大阪府堺市御廟山古墳出土埴輪および京都府久津川古墳群出土埴輪の数量が当初の予想以上に多く、その分析・検討に時間を要したことである。また第二の理由は、畿内中枢における埴輪工人集団の直接的影響の下で生産された各地の古墳出土埴輪の分析・検討作業に予想以上の時間を要したことである。 平成25年度の未使用額については、平成26年度において、基本的には、研究成果報告書の印刷費として全額使用するものとする。
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