研究課題/領域番号 |
23520946
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研究機関 | 北九州市立自然史・歴史博物館 |
研究代表者 |
松井 和幸 北九州市立自然史・歴史博物館, その他部局等, その他 (10372236)
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研究分担者 |
安間 拓巳 比治山大学, 現代文化学部, 准教授 (40263644)
野島 永 広島大学, 文学研究科, 准教授 (80379908)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 考古学 / 鋳造 / 鋳物師 / 梵鐘 |
研究概要 |
平成23年度は、昭和63年度に財団法人北九州市埋蔵文化財調査センターが発掘調査した室町遺跡(北九州市小倉北区室町二丁目)と平成10~12年度に北九州市教育委員会が発掘調査した小倉城二の丸遺跡(北九州市小倉北区室町一丁目)出土の鋳造関連遺物を北九州市立自然史・歴史博物館に搬入し、資料の再整理を中心に実施した。 両遺跡は、小倉城の北側の砂丘上に展開する室町時代を中心とした鋳造遺跡である。溶解炉を井戸枠として再利用していることなどから、溶解炉の規模も推定できる遺跡で、中世の鋳造遺跡としては非常に良好な遺跡である。両遺跡とも小倉鋳物師の関連遺跡と考えられている。 特に平成23年度の作業では、鋳型の復元、実測作業など資料の再整理を中心に実施し、小倉鋳物師がどのような製品の鋳造をこれらの遺跡で実施していたかを追求した。鍋の鋳型は復元、実測し、口径や底径を導き出して、製品としての鉄鍋の復元材料の確保に努めた。鍋蓋と考えられる良好な鋳型も出土しており、鍋と鍋蓋がセットで把握できる。また鋤先も同様である。完全に整理が済んだわけではないが、現状では鋤先や鍋などの鋳型しか確認できないことから、遺跡内では日常品の鋳造を中心に実施されていたと考えられる。とすれば小倉鋳物師を象徴する梵鐘は、鋳型や鋳造遺構がこれらの遺跡で確認できないことから、出吹きであるのは間違いないことを確認した。またこれらの遺跡では、鉄製品、青銅製品の両方の製品を鋳造しているとの推定が遺跡の面からも確認出来た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の研究費の入金が8月中旬と遅れたことと、当初7割のみの入金であったため、調査期間の中心と考えていた夏の期間に十分な調査を実施することが出来なかったために当初の予定ほど目的を達することが出来なかった。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、昨年度の基礎調査結果を元に2つの問題に絞って研究を推進させる。 一つは、小倉鋳物師関連遺跡から出土した鍋、蓋、鋤先などの鋳型から製品を復元して鋳造実験を実施し、当時の鋳物技術を再現することを究極の目標とする。鋳型を再現し、鋳造を試み、その結果を詳細に分析することによって、技術的背景を検討することが出来るからである。 もう一つは、小倉鋳物師、芦屋鋳物師などが鋳造したと言われている梵鐘の詳細な検察やハンデイ螢光X線による分析を通じて原料、製作時期、製作工人の問題を検討する材料を入手する。
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次年度の研究費の使用計画 |
小倉の中世鋳造遺跡出土鋳型を検討し、製品の鋳造実験を準備、実施する。そのための原材料の購入費に使用する。 小倉鋳物師、芦屋鋳物師がかつて鋳造したと考えられている梵鐘の肉眼観察、ハンデイ螢光X線による科学分析等を実施するための旅費に支出する。
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