研究課題/領域番号 |
23520953
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研究機関 | 奈良女子大学 |
研究代表者 |
内田 忠賢 奈良女子大学, 研究院(人文科学系), 教授 (00213439)
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キーワード | 現代祝祭 / 伝播 / よさこいYOSAKOI / エイサー / グローバル / ローカル / グローカル |
研究概要 |
国内および海外における現代祝祭「よさこいYOSAKOI」の展開について、3年目の現地調査した。特に、海外では平成24年度(一昨年)に引継ぎ、YOSAKOI-SORANブラジル大会(第11回)を調査した。また、比較軸として、国内およびブラジルにおけるエイサーの展開を調査した。 ブラジルへ「よさこいYOSAKOI」の踊りや祝祭が伝わったのは2000年頃、第1回YOSAKOI-SORANブラジル大会は2003年に開催された。その伝播の背景となるコミュニティは基本的に、日系社会の人的ネットワークである。同世代だけでなく、幅広い世代間の連帯を徐々に促してきた。同時に、ブラジル各地の日系人社会のネットワークを活発にしてきた。中心になっているのは、ブラジル第2位の美容院チェーンの総帥、飯島秀昭氏であるが、彼の努力により、「よさこいYOSAKOI」の活動はブラジル全土に伝播し、各地に拠点が生まれた。平成24年(第10回)までは、最大の日系人社会を有するサンパウロでの開催であったが、昨年・平成25年(第11回)は地方都市マリンガ(パラナ州)の日系社会が実質的な主催者となった。また、昨年から、非日系人が「よさこいYOSAKOI」チームのリーダーの一人となったことも特筆される。日系人によるイベントにも新しい動きを見ることができる。 「よさこいYOSAKOI」系の踊りやイベントは、高知での1954年の開始時、札幌での1992年の模倣時、その他、全国各地、世界各地への展開時ともに常にハイブリッド(異種混交)な特徴を持つので、新しいコミュニティのあり方、多様なネットワークを生み出す仕掛けとなっていることが分かった。 それに対し、エイサーの伝播は国内外ともに、日系人、特に沖縄出身者と深く結びついていることが、平成25年度も確認できた。 引き続き、これらの展開をグローバル、ローカルな視点から調査したい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
申請時において3年間、継続して調査予定であったYOSAKOI-SORANブラジル大会だが、平成23年度(初年度)、諸般の事情にて現地調査ができなかった。本申請課題による科研は平成25年度(昨年度)にて終了予定だったが、、上記の理由にて、ブラジル調査1回分の費用を繰り越し、もう1年間、延長させていただくことにした。平成25年度の調査研究のスピードは予定通りだが、上記の理由により、やや遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
上記の理由にて、ブラジル調査1回分の費用を繰り越し、本研究課題による調査を継続(4年目)させていただく。YOSAKOI-SORANブラジル大会をはじめ、調査対象となる主な現代祝祭を時間と事情が許す限り現地調査し、その分析結果等を総括したい。
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次年度の研究費の使用計画 |
本研究課題における海外調査の主たるフィールドはブラジルの日系人社会である。3年連続してブラジルにて調査研究を行い、その詳細および変化を分析する予定であったが、平成23年度(初年度)の調査ができなかったため、ブラジル調査1回分の経費を残し、平成26年度(今年度)へ繰り越すことにした。 平成26年度(今年度)に繰り越した残額の研究費は、相手先フィールドの事情等が変わらない限り、海外調査1回分として使用予定である。
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