本研究では,ホーチミン市に居住する韓国人ディアスポラの属性と彼らの定住意識を明らかにすると共に,彼らのホスト社会と融合・隔離・妥協について現地調査を行った。調査の結果,就業目的の移住が最も多く,居住期間は5年未満が約半数を占めていた。ベトナム語能力は片言の会話程度の初級レベルが大半で,日常生活にも不自由を感じているが,約6割の人々がベトナム生活に満足していた。居住地域は外国人集中地区であるPhu My Hung地区をはじめ数ヵ所に限られており,空間的な隔離が進んでいることがわかる。また,韓国人とベトナム人のカップルで形成する「 韓ベ家族」を除けば,定住意識は総じて低い水準であった。
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