本研究は、伝統的に低出生力であったアフリカ焼畑社会を主な対象として、個人の生活史(ライフヒストリー)に着目することによって、ライフイベントの個人差・世代差と出生力変異との相互関係を明らかにし、「生業と人口の関係」という問題を解明することを目的とした。収集・集成した様々な世代のライフヒストリーデータを分析した結果、焼畑民が定住化し国家に包摂された結果、出生力が顕著に上昇したことがわかり、低出生力の近接要因が結婚年齢の高さや長い出産間隔にあり、その究極的な要因は頻繁な移住をともなう焼畑民の生業形態と生活史にあることが実証された。
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