本研究では、水質の変化や沿岸域の土地利用変化による漁業環境の悪化に対して、漁業者組織が漁場における問題認識に基づいて問題提起をしていたことを確認できた。漁業者による環境保全活動は、沿岸域の環境管理における産業としての取り組みだけではなく、持続的な自然環境の維持にもつながる役割を果たしていたことが分かった。 沿岸域管理における環境政策と住民参加の国際的比較として、韓国とアメリカ合衆国における沿岸域の地域で調査を実施した。行政主導の環境政策だけではなく、産業や地域を主体とした環境保全活動が試みられてきていることを確認できた。 各国・各地域における環境保全への取り組みは、それぞれの環境思想による影響が沿岸域管理にも及んでおり、具体的な沿岸域の事例に基づき、時系列的な環境活動の実態解明を進めていくことが望まれる。
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