本研究は沖縄島中北部の四つの基地所在市町村における基地対策、基地跡地利用の進捗とその影響について調査を進めた。結果として、嘉手納基地「以南」の基地返還が、北部における基地の維持や代替施設の受け入れと連関しており、その上での跡地利用が基地所在市町村の場所性の活用として多様性を見せていることがわかる。対して、北部の一部では基地の継続的受容を前提とした町村施策が展開されており、基地があるがゆえに町村のコミュニティが維持されるという、構造的軍事化のパラドクスが明らかになった。ここから、脱軍事化への方途は北部の社会経済的開発をどう基地から自立させるかという問題に集約される。
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