新興国タイにおける生鮮食品の流通システムの実態を、スーパーマーケットなど小売新業態の台頭の影響に注目しながら研究した。調査は首都のバンコクと生産地のチエンマイで実施した。バンコクでは生鮮食品を取り扱う小売新業態の主要企業各社担当者から、チエンマイでは農業協同組合、生産農家、産地仲買人をはじめとする中間流通業者などから、それぞれ聞き取りした。 その結果、小売新業態の台頭にともない生鮮食品の生産・流通過程において、特に多国籍小売企業の影響力が増大しているという「スーパーマーケット革命」仮説に反して、依然として中間流通業者の役割の方が小売新業態各社の役割よりも大きいことが明らかになった。
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