研究課題/領域番号 |
23520966
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
宮口 とし廸 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (80097261)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 過疎地域 / ソフト事業 / 地域活性化 |
研究概要 |
本年度は当初計画に従って、総務省過疎対策室の資料から、北海道・東北・中国の各地方から先進的な過疎対策ソフト事業を選び出し、現地調査を実施した。対象としたのは北海道ニセコ町・喜茂別町、青森県風間浦村、岩手県葛巻町・岩泉町、島根県雲南市・奥出雲町・飯南町の各市町村である。 積極的にソフト事業を立案している自治体においては、従来一般財源で実施していたソフト事業を、過疎法改正を受けて過疎債の充当事業に切り替えた例が、共通点として多くみられ、その際に中身の拡充を行った例も多い。最も共通して見られたのは医療対策に関わる事業で、病院を持つ自治体であれば医師の確保対策、小さな診療所であればその運営の支援が立案されていた。交通対策に関しては、デマンド系のシステムについての実験事業が多く、弱者の移動に関して抜本的なシステムの確立が困難なことを示している。 過疎地域にある高校は定員割れを起こしている例が多く、その存続は過疎地域の活性化には不可欠との認識は共通して見られ、直接的な支援事業が多く立案されていた。ユニークな事業としては、都市部に住む孫を祖父母のもとに引き取って学校に通わせることに対する補助事業で、農山村の教育力が肯定的に論じられている時代に一定の意義を持つと考えた。 本年度は研究の初年度でもあり、大きな方向性を整理するには至っていないが、調査事例を増やす中で、意義ある過疎対策ソフト事業のあり方を検討していきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画に従って、北海道・東北・中国の各地方の対象市町村の現地調査において、ヒアリング及び資料収集を順調に実施した。
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今後の研究の推進方策 |
24年度は当初の計画通り、関東・四国・九州・沖縄の各地方の先進的な過疎対策ソフト事業の実施自治体を選定し、各地に3泊4日程度の現地調査を行う。さらに25年度は北陸・中部・近畿の各地方において同じような現地調査を実施し、その後3年度にわたる調査の結果を整理し、それぞれの自治体の類型化に基づき、どのような過疎対策ソフト事業が実効性を持つかについて論じたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
当年度は現地調査が主体となるため、旅費がきわめて多くの割合を占める。なお、同行補助員の謝金の辞退があった場合には、調査地を増やすことで対応したい。
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