研究課題/領域番号 |
23520974
|
研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
山田 嚴子 弘前大学, 人文学部, 教授 (20344583)
|
研究分担者 |
川島 秀一 神奈川大学, 外国語学部, 教授 (30639878)
|
キーワード | 民俗信仰 / オシラ神 / 民間巫者 / 再文脈化 |
研究概要 |
民俗信仰の再文脈化をめぐる研究会は、2012年7月21日、22日に開催し、①東北におけるベットウの地域差、②岩手県一関市大乗寺におけるオガミサンとオシラ神の研究史、③過去のオガミサンの映像の検討、④山伏神楽とオシラ神の関連を示す映像の検討、⑤国立歴史博物館作成のオシラ神救出をめぐる文化財レスキュー映像の検討を行った。②③を受けて、一関市大乗寺の震災後の変化を含めたオシラ講の調査と映像撮影、⑤を受けて、岩手県宮古市の黒森神楽におけるオシラさまの舞い込みの調査と映像撮影を行うことを決め、具体的な計画に入った。また、震災関連のシンポジウム、研究会に参加し、震災における民俗事象の「再文脈化」の議論と、本研究課題をリンクさせることを確認した。 課題に関わる調査としては、2012年10月15日16日に一関市大乗寺でのオシラ講の撮影と聞き取り調査、2013年1月3日4日に黒森神楽の撮影と聞き取り調査を実施した。これらの映像は本課題の最終年度に、民俗信仰の再文脈化を示す映像資料として編集される予定である。 課題に関わる作業としては、久渡寺の信仰圏のデータベース化を23年度に引き続いて行った。その成果の一部を、研究協力者の佐治靖が10月8日の民俗学会で「オシラ神信仰と久渡寺ー在来信仰の〈動的〉理解に向けてー」と題して発表した。 調査資料の収集、検討の過程で東京都在住の亀倉加久子氏より、1970年代後半から80年代はじめにかけての福島県会津地方のオシンメイサマと民間巫者の調査資料と写真の提供を受けた。手書きによるものとガリ刷りによるものであり、ガリ刷りのものは限定10部の刊行であった。いずれも貴重な資料と判断し、デジタル・データ化と本文のワープロ化を進めている。これも活字資料として最終年度に刊行の予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
最終年度に編集予定である映像については、ほぼ撮影を終えた。この映像をもとに「民俗信仰の再文脈化」を示す映像を作成する予定である。 津軽のオシラ神信仰のセンター的な役割を果たす久渡寺信仰圏のデータベース化も順調に進んでいる。 当初の計画にはなかったが、1970年代後半から80年代はじめの福島県会津地方のオシンメイ信仰の資料を入手し、調査者が活字化を望んでいるため、デジタル化とワープロ化を進めている。この作業は、引き続き最終年度も行い、資料集として刊行予定である。この資料もまた、オシラ神信仰の再文脈化についての理論化の有益な材料となることが期待できる。
|
今後の研究の推進方策 |
映像資料の編集と、研究発表、資料集の刊行を予定している。そのための補足調査、文献調査を予定している。 7月には研究責任者が、日本昔話学会で講演「現代におけるオシラ神の霊験と奇瑞(仮題)」を発表する他、10月の民俗学会では研究分担者、協力者とともにミニ・シンポジウム「オシラ神信仰の再文脈化(仮題)」を予定している。 映像資料は3月までに編集を終え、東北の研究会などで公開する。会津のオシンメイサマ信仰については活字化して解説を加えたものを刊行する。
|
次年度の研究費の使用計画 |
研究協力者の川島秀一氏が、平成25年度から所属機関を替えられる関係で、使用予定の物品で購入を延期できるものは買い控えたため、また、当初予定していたアルバイトの時間がアルバイターの都合で消化できなかったため、90824円の残高が発生した。この金額は、研究分担者の川島氏が主に調査用の物品や図書を購入する費用に割り当てる他、研究協力者の捕足調査用の物品の購入に充てる予定である。
|