研究課題/領域番号 |
23520975
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
作道 信介 弘前大学, 人文学部, 教授 (50187077)
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研究分担者 |
太田 至 京都大学, アフリカ地域研究資料センター, 教授 (60191938)
河合 香吏 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 准教授 (50293585)
波佐間 逸博 長崎大学, 大学院国際健康開発研究科, 助教 (20547997)
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キーワード | エンボディメント / マッサージ / ヘルスケア・ローカリティ / 干ばつ / 医療化 / 国境地域 / 援助医療 / ヘルスケア |
研究概要 |
本研究の目的は、1980年代の大干ばつ以降、北西ケニア牧畜民トゥルカナに出現した、便秘を主症状とし多様な症状を示す地域特有の慢性病「糞肛門」のマッサージ治療の地域比較である。糞肛門とは、便秘を主症状とし多様な症状を示す地域特有の慢性病で、治療はマッサージである。私たちは糞肛門の「治療者と病者が病気の身体を手で揉みながら、そこに干ばっ後の社会変動を読み込んだ新しい病気」と仮説した。その身体はマッサージによって伝わり、人々の苦境を体現化する共通の身体(エンボディメント)となった。それは犠牲者としての民族的な意識に連なる可能性がある。糞肛門には地域差や国境地帯の治療者(含異民族)の介在がある。本研究では、国境地帯を含む地域比較を通じて、糞肛門の分布を確認し、仮説を検討する。 今年度は、カクマ周辺でのヘルスケア調査を継続しながら、他地域のマッサージの観察記録により、マッサージの地域比較、及び地域ごとのヘルスケア・システムの把握を試みた。また、あわせて、ウガンダ・ケニア国境地帯で異民族間の治療協力についての探索的調査、及び同地域の研究者との情報交換を行い、ヘルスケアの民族間比較につなげる準備を試みた。 しかし、カクマ周辺での現地調査中の急病により、遂行には至らなかった。 その他、国際社会学会フォーラムISA2012・ブエノスアイレス大会においてトゥルカナの占いについての研究発表及び、関連するテーマに関心をもつ研究者との密接な交流を行い、国際的なネットワークを構築することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
今年度と来年度において、ウガンダ・ケニア国境地帯の広域調査を実現し、研究分担者の協力によって民族間比較につなげる準備とすることを目標としていたが、カクマ周辺での現地調査中の急病により、調査を遂行できなかった。 成果の国際的な発信については、ブエノスアイレスにおける国際社会学会における研究発表により、ケニアの牧畜民トゥルカナの身体と集団性について国際的に発信することができた。
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今後の研究の推進方策 |
今年度中断したウガンダ・ケニア国境地帯の広域調査を、次年度行う予定の広域調査と併せて行い、研究の遅れを取り戻したい。その際は調査地点やサンプル数の査定を検討することとする。また、次年度は最終年度であるので、当初予定していたとおり、調査結果をとりまとめて報告書を作成する。
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次年度の研究費の使用計画 |
(抄録なし)
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