グローバル化の進行する中、国際的な労働力移動が活発化している。日本の遠洋漁業でも、国際的競争の激化、若年労働者不足等の背景から、外国人契約漁船員への依存が著しい。カツオ一本釣り漁船や巻き網魚船では、インドネシア人やキリバス人が乗組員として働いており、日本人乗組員を数の上で凌駕している。これらの漁船では、異なる文化的背景をもつ漁船員たちが、一航海約2か月の間、密室状態で寝食を共にし、協働する必要がある。しかし、文化的他者間で深刻な軋轢はほとんどない。漁船員たちは、船上労働において実践的に協調しながらも、適度な距離を保っている。必要以上に干渉しない態度により、多文化共存は維持されている。
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