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2012 年度 実施状況報告書

開発から実践へ-安心院農村民泊による地域再生のモデル化と移植に関する政策的提言

研究課題

研究課題/領域番号 23520978
研究機関筑波大学

研究代表者

前川 啓治  筑波大学, 人文社会系, 教授 (80241751)

キーワード開発 / 地域づくり / 農村民泊 / 観光 / フットパス / アクター / グローカル / ウォーカーズ・ウェルカム・タウン
研究概要

今年度は、安心院における農村民泊のフィールドワークの知見をもとに、その手法が確立されている農村民泊のあり方の変容を、従来から協調体制を構築してきた行政との関係性の変容という観点からまとめた。このように新たな動態的なモデルの原型を探りながら、こうしたモデルが筑波山麓地域にどのように応用できるのかを継続的なフィールドワークによって調査した。
そして、安心院と春蘭の里の統合的農村民泊モデルを移植する先としている筑波山麓地域に対し、比較の観点から、南アルプス地域での移植の可能性を探るため予備調査を今年度行ったが、この地域では、農産物生産NPO等が、農村民泊の導入を以前から検討し早々とその導入を断念していることが明らかとなった。
そこで、農村民泊導入の難しさを考慮にいれながら、イギリスで囲い込みに対して歩く人の権利を確立する運動の中で整備されてきたフットパスとの接合の可能性を思索している。農村民泊導入に先だって、フットパスの整備を行うために、イギリスでフットパスをベースに構築されてきたウォーカーズ・ウェルカム・タウンの研究も始めた。「ウォーカーズ・ウェルカム」タウンという概念のなかで、農村民泊を導入できるかどうかを検討しつつある。
研究代表者は昨年度つくば市の観光基本計画策定委員長を務め、より広い視点から観光の活性化を検討し、農村民泊と合わせて行う観光施策の可能性を求め、すでにフットパス・ウォークの展開を施策としてあげ、今年度は市、NPO、等とワークショップを重ね、フットパスの道標のデザインを行った。
さらに、遺跡を利用した観光展開、障害者を対象とした観光、養生ツアー、ジオパークの観光的展開、国立公園の施設の利用、科学博物館等の科学と伝統の融合といった各地の様々な地域づくりの実態調査を引き続き行い、こうした各地の種々の観光まちづくりの事例から、農村民泊との接合可能性を探った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

筑波山麓地域は、とくに竜巻被害にあった地域であり、その復興プロジェクトの委員として、委員会、作業部会に出席しながら、新たな地域づくりの手法としての農村民泊の可能性とフットパスの整備をどのように結びつけられるかを委員等と検討した。
種々の試案が出される中で、実際にどのような施策が行われうるのかは、検討を重ねなければならない事柄である。筑波山麓地区にあっては、農村民泊単独では観光を基にした地域づくりにつながりにくいという共通認識に至り、現在では、むしろフットパスの整備を先行し、フットパスウォーカーを観光客として誘導し、地域の魅力を認識してもらうなかで、地域への滞在・宿泊の可能性を考えている。
このように、農村民博をベースとした地域づくりの環境は変化しているが、変化する状況を調査し、把握しながら、有用な関連施策の可能性を視野に入れてモデルの応用を考えており、多少の困難には遭遇しているが、想定内の進行状況といえる。

今後の研究の推進方策

安心院と春蘭の里の統合的農村民泊モデルを移植する先としている筑波山麓地域に対し、比較の観点から南アルプス地域での移植の可能性を探るべく予備調査を今年度行ったが、この地域では、農産物生産NPO等が、農村民泊の導入を以前から検討し早々とその導入を断念していることが明らかとなった。そこで、筑波山麓地域との比較のためのフィールドワークは中止し、代わりに近隣の北杜市などにおけるフットパス整備に関する聞き取り調査を主とするフィールドワークを行う予定である。
こうした日本のフットパスをベースとし、もてなしによる観光地域づくりが、イギリス・コッツウォルズ地域のフットパスとウォーカーズ・ウェルカム・タウンの構築とどのような共通性があるのか、あるいは日本的な展開の特色があるのなら、それは何かをグローカル化という観点から検討してゆく。このため、実際に、コッツウォルズ・コンサベーション・ボードを訪れ、インタビュー調査を行う予定である。
そうしたより広い知見をもとに、地域づくりのアクターの地域の捉え方と地域づくりの考え方を把握し、農村民泊とフットパスの関連付けをどのような方向性で行っていけばよいかを探ってゆく。
筑波山の移植麓地域のアクターに関しては、引き続き地域の文化資源についての語りを視聴覚データ化し、保存し、また将来インターネット・ツールなどへの視聴覚情報の提供への応用の基礎作りを行うことを考えている。

次年度の研究費の使用計画

該当なし

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2012

すべて 図書 (2件)

  • [図書] 『カルチュラル・インターフェースの人類学』2012

    • 著者名/発表者名
      前川 啓治
    • 総ページ数
      265
    • 出版者
      新曜社
  • [図書] 『平成23年度フィールドワーク報告書―筑波の過去から現在へ』2012

    • 著者名/発表者名
      前川 啓治
    • 総ページ数
      83
    • 出版者
      筑波大学人文社会科学研究科/国際総合学類

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公開日: 2014-07-24  

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