本研究は、ヤップ文化を基盤とする脱領域的公共圏の構造の解明のため、移民のアソシエーションによる文化的祭礼の移民先における開催を現地調査によって検討した。検討から以下の特徴を指摘しうる。グアム島では指導者不在のため祭礼は中断され、ポンペイ島では政府からの補助が祭礼の開催を助け、ハワイ島では、祭礼は開催されないが、ヤップ離島出身者の独自の卒業式がヤップ離島文化の諸要素を提示している。またヤップ、グアム、ポンペイ、ハワイを跨ぐ、終末医療と葬儀のための相互扶助が存在し、これがヤップ本島と離島の民族的アイデンティティを喚起している。
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