研究課題/領域番号 |
23520987
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
高橋 晋一 徳島大学, 大学院ソシオ・アーツ・アンド・サイエンス研究部, 教授 (10236284)
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キーワード | 祭礼 / 民俗 / 囃子 / 民俗音楽 |
研究概要 |
本研究の目的は以下の2点である。1)徳島県各地の祭礼の「お囃子」のデジタルデータ化を行い、そのデータを比較検討することを通じて、県下の祭り囃子が持つ構造性の特質を明らかにする。2)お囃子の地域的分布を検討することを通して、地域における「お囃子文化」の展開過程を明らかにする。平成24年度は、主に県北・県西地域を中心として、文献調査に加え、30地点あまりの祭礼の現地での聞き取り・観察調査を実施した。現地で収集した文献データ、聞き取りデータ、映像・画像・音声データを分析することにより、地域における「お囃子のシステム」のかたちを抽出した。その結果、1)県西地域(三好地方)の山車の基本形態は引くタイプの「だんじり」で、県北(吉野川流域)の山車の基本形態は担ぐタイプの「屋台」であること、2)鳴り物の構成は、基本的に大太鼓1・小太鼓2・鉦2の5人編成であること、3)県西部(三好市池田町・山城町)に布団屋根の「太鼓屋台」(4人乗り)の分布が見られるが、これは伊予(東予)・讃岐方面から近世以降に移入したものであること、4)県北地域(吉野川流域)に担ぐタイプの小型屋台(よいやしょ)の分布が見られること、5)お囃子のスタイルは大鼓・小鼓の入る県南地域に比べ比較的シンプルであること、6)祭りの場面展開に応じて複数のお囃子のパターンを組み合わせていることなどが明らかになった。昨年度の調査をふまえ、徳島県下においては、県南(大太鼓・小太鼓・鉦・大鼓・小鼓)/県北・県西(大太鼓・小太鼓・鉦)という二つの大きなお囃子文化圏が存在することを見いだした。来年度の補足調査をふまえ、徳島県全域におけるお囃子の地域的展開の様相を明らかにしたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、徳島県各地の祭礼の「お囃子」のデジタルデータ化を行い、そのデータを比較検討することを通じて、県下の祭り囃子が持つ構造性の特質を明らかにする。また、お囃子の地域的分布を検討することを通して、地域における「お囃子文化」の展開過程を明らかにすることを目的としている。平成24年度には、文献調査、および県西・県北地域を中心とした現地調査の実施を計画していたが、一部地域を除きおおむね調査を実施することができ、また、調査で収集した文字・画像・動画データを整理し、それらをもとに、お囃子の構造・地域性の両面から県南地域の祭礼のお囃子の特質の分析を行った。以上のことから、研究計画はおおむね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度も、引き続き祭り囃子に関する文献資料、徳島県の祭礼文化に関する文献資料を収集、精読する。平成23、24年度に実施できなかった地域の祭礼とお囃子に関する補足調査を集中的に実施する。前年度までの調査結果とも比較を行いつつ、お囃子の地域性を明らかにしていく。 基本的な調査方法は前年度と同様である。事前に現地の関係者に、お囃子の種別と奏法、使い分けなどに関する詳しい話を確認した上で、祭礼当日は現地でお囃子の打ち子の人数・衣装・鳴り物の種別・配置等の情報を観察調査により確認、さらに移動する山車に同行する形でお囃子の演奏の様子をビデオ撮影、基本的な鳴り物の打ち方を記録するとともに、場所による打ち方の使い分けを確認する。 平成23~25年度の3年間で収集したお囃子に関するデータを整理・統合、あらためて徳島県のお囃子をタイプ分けし、県内全域におけるお囃子のタイポロジーを提示する。またその分布状況を地図上に落とし込み、こうしたお囃子の地域的偏在が何を意味するのかを文化交流史的な視点から検討する。現在のお囃子の分布は、歴史的な伝播・受容・変容の過程の中で作られてきたものと考えられるからである。このように空間・時間の両面から、徳島県という広域エリアにおける祭り囃子の展開の全体像を描き出したい。 なお、県外との文化交流が徳島県の祭り囃子に及ぼした影響を検討するため、隣接する香川県、愛媛県、高知県の祭り囃子等についても文献調査、現地調査を平行して行い、相互の関連性を探りたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究費は、物品費(祭り囃子研究関係文献、現地でデータを収集し、整理・分析するための機材やソフト、消耗品)、旅費(現地での聞き取り調査・観察調査、文献資料収集)、謝金(調査データの整理の補助)に充てる予定である。 なお、平成24年度研究費の一部を次年度に繰り越す形になったが、残額は7431円と少額であり、ほぼ予定通りの執行となっている。残額が生じた理由は、謝金が予定より少額で済んだことによる。この残額(繰り越し額)は調査旅費に充当し、平成25年度に合わせて使用することとしたい。
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