近年の対馬は「国境の島」として知られるが、歴史的経緯を踏まえて調査・分析を行った研究成果は極めて乏しい。本研究では対馬を地域社会の複合体として捉え、各地域社会の「生存戦略」との観点から「日韓交流」に関する諸事象の調査・分析を行った。具体的には、日韓交流イベントとして知られる「朝鮮通信使行列」パレードの変遷を地域社会の文脈に位置づけて分析し、当初は地域の歴史に題材をとった仮装行列的な「出し物」が、やがて観光パレード、そして日韓交流イベントとして読み替えられていった経緯を明らかにした。また、交通史調査を通じて戦前・戦後の朝鮮半島との交流実態の解明を行った。
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