本研究では滋賀県・奈良県や大阪府などにおいて複数村落によって祭祀される神社と自然資源の共有関係について検証することを目的とした。村落関係表を作成し、そのうち滋賀県の事例の一部については「湖東地域における複数村落による神社祭祀」(『人間文化』38)において報告した。また地域的分析として滋賀県蒲生郡竜王町苗村神社の三十三年大祭の調査を行い、祭祀の中心的役割を担う9つの村落の水利関係、森の利用などについて近世文書を用いて明らかにした。また奈良県畝傍山周辺村落では、明治以降の山の国有地化や樫原神宮の創設によって、水利や山林の利用、畝傍山口神社の祭祀が大きく変化したことを明らかにしている。
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