研究課題/領域番号 |
23520997
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研究機関 | 愛国学園大学 |
研究代表者 |
高橋 美和 愛国学園大学, 人間文化学部, 教授 (40306478)
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キーワード | カンボジア / タイ / 上座仏教 / 俗人女性修行者 / 論蔵 |
研究概要 |
上座仏教のパーリ三蔵の一部である論蔵の学習について、俗人女性修行者の行動を軸に、カンボジア・タイ2ヶ国を視野に含めて検討することを目標とする本研究では、昨年度(平成23年度)に両国での一次フィールドワークを終え、今年度(平成24年度)は、両国での第二次フィールドワークを予定していたが、スケジュール上の諸々の事情でカンボジア調査のみ実施した。 今年度のカンボジア調査では、①キーインフォーマントである論蔵教師の俗人女性修行者(ドーンチー)2名の教育活動、②カンボジア内戦前の論蔵教育の実態、③現在の、主に僧侶を学習者とする仏教教育高等課程カリキュラムにおける論蔵の位置づけ、を主な調査項目として計画し、実施した。 ①では講義の現場での参与観察の機会を得た。それに加え、調査期間中に開催されたカンボジア宗教省主催「俗人女性修行者研修セミナー」においてキーインフォーマントの一人が講演する場面の観察・草稿の入手もできた。②は、詳細はいまだ不明な部分も多いが、仏教研究所付属図書館で調査した結果、内戦前の論蔵教科書の主な執筆者(僧侶)を調べることができ、現在もその抜粋版が仏教教育高等課程で使用されていることがわかった。③は、時間の関係で全容の把握には至らなかったが、論蔵の講義担当者から貴重な情報を得ることができた。 国内での作業としては、昨年までに得た俗人修行者の基礎情報に関する質問紙データの集計を終えた。その一部を研究ノートとして発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
調査計画や方針に変更はなく、必要な情報は得られているが、平成24年度に予定していたタイでの調査が実施できなかったこと、カンボジアで実施した調査のうちインタビューで得た情報の整理がまだ完全でないことから、区分を(2)とした。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度実施できなかったタイでの調査を実施するとともに、カンボジアで補足調査を実施する。タイでは、論蔵学のカリキュラムや試験制度、教材開発の他、学習者のカテゴリーが寺院止住者(僧侶や修行者)から一般在家へと変化しているようなので、その理由や、論蔵学のタイ仏教界における位置づけの把握に努めたい。具体的には、マハーチュラーロンコーン大学および俗人女性修行者の団体であるタイ・メーチー協会での聞き取りが必要と考えている。カンボジアでは、政府主導で進む、俗人修行者の啓発というものがどのような意図で行われつつあるのか、その中で学問をする俗人女性修行者の位置づけとはどのようなものかを宗教省を中心として聞き取りを行う。またパンニャーサハ大学の仏教カリキュラムについても調べる。 今年度は最終年度であるため、大規模調査でデータを増やすというよりも、これまでに得たデータの整理、収集した文献資料の読み込みとデータ化、研究成果の発表に重点を置きたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
物品費として、紙データのデジタル化のためのpdf変換機能のあるスキャナーに30,000円(平成24年度に購入しなかった)。旅費として、タイ・カンボジア渡航(合わせて約2週間)に350,000円。調査助手謝金20,000円、および紙データデジタル化の作業者謝金に50,000円。(合計約450,000円)
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