研究課題/領域番号 |
23521003
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研究機関 | 中部大学 |
研究代表者 |
杓谷 茂樹 中部大学, 国際関係学部, 教授 (90410654)
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キーワード | 観光 / 遺跡公園 / マヤ文明 / イメージの生産と消費 / 文化資源 |
研究概要 |
2012年12月21日をめぐるいわゆる「マヤの預言」に対する一般の対応の様子を理解するために、7月に米国ハーバード大学ピーボディ博物館およびペンシルバニア大学大学博物館にて調査を実施したが、米国内では考古学者がこの予言そのものを否定することに躍起になっている一方で、一般市民でこの予言に反応しているのは極めて限定的であり、メディアがことさらに大きく取り上げている様子を理解できた。そして、12月にはチチェン・イツァ遺跡公園にてどういう人たちがどういう行為をしながらこの日を迎えるのかを観察した。そこで一部の熱心な白人グループと日本を含む欧米メディアの存在と、これに対する先住民グループの時に反発し、時に無視しようとする態度の対比を観察できたが、この先住民たちも遺跡公園周辺のユカテコ・マヤだけでなく、メキシコ全土から集まっていることがわかり、「マヤの預言」というモチーフのもとに、様々な立場の人がそれぞれの解釈をもって遺跡公園という空間を創り上げているさまが観察できた。また8月には昨年度からの継続として遺跡公園のインフラ整備状況と地元露店商の増加拡大の様子を観察した。その中で、遺跡公園内の露店商と一部ツアーガイドの連携が見られるようになったことを確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年度来の個人的な事情から長期の調査活動はできなかったが、2012年というマヤ・イメージに大きく関わるタイミングで、テーマを絞った形での有効な調査を行うことができたと考える。欲を言えば、チチェン・イツァ遺跡公園以外の、例えばカンクンやメリダなどの観光拠点における民芸品、土産物販売などの調査を十分に実施できなかったのは残念であった。次年度の課題として考えたい。
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今後の研究の推進方策 |
夏期に現地調査に赴き、これまでの継続として遺跡公園のインフラ整備状況と地元露店商の増加拡大の様子の観察を実施するとともに、調査が十分にできなかった店の補足を行い、基本的に後半は3年間の総括をしてゆくことを予定している。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成23年度に身内の不幸という個人的な事情から十分な調査活動ができなかった分を、平成24年度になんとかカバーする努力をして、プロジェクトとしては概ね順調に進展してはいるものの、同じ事情から現地調査の日程を切り詰めなければならず、その結果、若干の研究費が余ることとなった。次年度においてもこの繰越金を含め研究費の大半は現地調査の旅費で使用する予定ではあるが、一部は現地でのガイドなどへの謝金、および日本での資料整理、総括にかかる謝金などの諸経費が発生することを見込んでいる。
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