研究課題/領域番号 |
23521010
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研究機関 | 熊本学園大学 |
研究代表者 |
萩原 修子 熊本学園大学, 商学部, 准教授 (60310033)
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研究分担者 |
飯嶋 秀治 九州大学, 人間・環境学研究科(研究院), 准教授 (60452728)
西村 明 鹿児島大学, 法文学部, 准教授 (00381145)
山室 敦嗣 福岡工業大学, 社会環境学部, 准教授 (90352286)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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キーワード | 水俣 / 再生 / 民俗 / 宗教 / 環境 / 社会 |
研究概要 |
今年度は、各自資料の収集と、資料整理の機材の準備、分担者同士での研究の進捗確認も含めた研究会を中心に行い、次年度における現地調査の下準備を行った。以下述べる各自の研究の他に、全体の研究会は、8月と11月、1月に行った。8月の研究会は九大、11月は熊本学園大、1月は水俣病事件研究交流集会に参加したのちに、研究会を開催した。とくに、1月の水俣病事件研究交流集会は、現地の患者や専門家、ジャーナリストなど水俣の「今」に関心を寄せる人たちが集う会で、ここで飯島は調査地である茂道の習俗について発表し、水俣をめぐる関係者と交流を深めた。多くの示唆的な意見をいただき、今後の研究の展開に寄与するものと思う。各自の進捗として、研究代表の萩原は、産育習俗に関する資料収集や現地の水俣病センター相思社などの資料を収集し、飯島は学生のフィールド実習と合わせて、水俣現地調査のための挨拶や、資料収集を行なった。西村は、慰霊の習俗に関する資料収集および、現地と熊本で水俣の習俗資料を精査した。山室は3・11の原発事故により、これまで続けていた原発調査研究に割く時間が急遽増え、1月の研究会には参加できなかったが、住民の意志決定システムを理解するための資料の精査を行なった。2月にもう一度、今年度の総括をするための研究会を実施する予定でいたが、メンバーの体調不良で開催できなかったため、その日は各自で資料の精査を行なうこととなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
3.11の震災の影響により、社会科学の研究者である本科研分担者は、喫緊のテーマに迫られて、予定の研究会などが行えないこともあった。そうした意味において、全体の研究会の開催は予定より少なかったことが、研究の進捗としてはやや遅れているという認識となる。しかしながら、各自での資料収集も出来うる限り、行ない、メールなどでお互いの進捗や資料収集・情報の交換は充実させている。また、3.11により水俣と福島の「再生」をめぐる問題意識に巻き込まれ、「再生」をテーマにする本研究の意義を再確認し、各自での問題意識が高まって、議論に幅と具体性が出てきたのは確かである。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、今年度の資料の精査を継続して、年間に数度の研究会を実施する。そして、夏および春に現地の予備調査と本調査を実施していく予定である。ただ、分担者の西村は今夏からおよそ半年の在外研究に入る予定のため、現地調査にはその間、他の3人がそれぞれ入るという形態になる可能性があるが、できるかぎり、議論を共有しながら、現地調査と資料の精査という往還運動を続けていくつもりである。3年目の後半にはそれまでの現地調査の報告をまとめ、その成果を現地にお返しし、さまざまな意見をいただく予定である。そこでいただいた指摘や新たな視点をもとに、より研究主題の中核に迫っていくつもりである。最後の年には、それらを各所属学会で発表し、学際的な議論を投げかけて、学問自体の「再生」を視野に入れていきたい。このように本研究は、現地との問題の共有によって「再生」の力の萌芽を描き出し、また、それによって、自閉しがちな学問自身の再生への道を探るものである。
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度は、震災関連の喫緊の研究の必要性などから、研究会の開催回数も少なく、分担者による資料の精査が予想より進まなかったため、旅費や物品費の未使用分が残っている。とくに分担者の山室は、原発の調査に迫られ、本研究の資料精査をするためのPC機器を未購入であったため、物品未使用分が多い。これらは次年度に繰り越して、使用する予定である。次年度は、4月~6月に資料の精査および研究の実施、7月~9月に現地での研究会、資料収集を行なう。現地での調査が可能であるなら予備調査として実施する。10月~12月にも資料の精査と研究会の実施、さらに1月~3月に再度現地での研究会と資料収集、現地調査を行なう予定である。したがって、資料代、研究会や現地調査にともなう旅費や、現地への謝金などが主要な研究費の使途となる。現地での調査にともなう旅費は、調査の日程が各自で調整できれば合流して行なうが、もし困難であれば、各自可能な時期と可能な期間で行なうため、かかる経費も予定とは異なる場合も出てくると思われる。また、現地で紹介していただく方との人脈によって、謝金なども多少の幅が予測される。
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