新たな法制度が策定される際には、外国の法制度が参照され当該外国法制度の全体の正確な把握と、そのうえでの冷静で主体的な取捨選択ないし合理的な改変とがなされることが予想される。しかし,その具体的なありようはどうか。 本研究は,第一に,18世紀末から19世紀前半にかけてのアメリカ合衆国に素材を求め、かつての本国イギリスの「権威的法典籍」がいかに利用されて、アメリカ法への継受・定着、あるいは離脱、さらには変改が行われたのかを実証的に摘出した。第二に、そのような継受・定着と一定の変改を経た英米法が,わが国の近代法制にいかなる現実の影響を及ぼしたかを検討し,もって現代の法制度策定の際における示唆を得た。
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