研究課題/領域番号 |
23530009
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
大屋 雄裕 名古屋大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 准教授 (00292813)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | アーキテクチャ / 権力 / グローバライゼーション / 法 |
研究概要 |
法哲学の伝統的な研究対象であった法に加え、近年その活用が注目されているアーキテクチャの権力を適切に分析するために、社会的統制手段という分析枠組を提示し、それぞれの統制手段の特質と関連性を分析する作業を行なった。その際、グローバライゼーションとともに国家の法を通じた支配力が危機にさらされるという事態が急速に進行しつつある情報技術・情報政策の領域が分析を進めるうえで有効であるとの判断のもとに、国家横断的にサービスを提供し・利用者の行為可能性をアーキテクチャ的に規制する一方で国家法との摩擦を生じさせている情報関連企業などに対して調査を行なうなど、理論と現実を架橋する作業についても進めている。理論的検討の過程において、規制の実現態様について従来想定されてきたディコトミー、すなわち国家の・法を通じた・強制的な規制か、当事者の・合意に基づく・自主的な管理かという二分法の中間に、特に状況の流動性が高く・技術的な専門性の高い領域において実効的な規制を実現するために当事者の自律的管理体制の形成を国家が直接・間接に支援・促進するという「共同規制」が登場しつつあるとの分析に接し、統治の手段に加えてこのような側面の検討も進めるべきとの認識に至った。研究の内容については、複雑化・分散化しつつある社会において統治のパフォーマンスを維持することを求められている行政からも注目され、特に治安政策に対する評価の枠組と複合的な統治の可能性を示唆するものとして三重県警察本部において講演を実施したほか、その内容をもとに『警察学論集』に公表するなど、研究成果の社会的還元の側面からも評価し得るものとなっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現時点までに得られた研究成果に基づいて複数の論文等をすでに公表しているほか、研究会等での報告を行なって検討のフィードバックを行なっており、理論的分析については順調に進展しているものと評価される。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き社会的統制手段それぞれの特質を分析する作業を続けるとともに、その規範的評価に関する理論的検討を行なう。特に、従来想定されてきたような国家法による強制的な規律と当事者による自主的な規制の中間に「共同規制」という新たな形態が生まれつつあることを念頭に置いて、問題領域・問題の性質と選択される規制態様の関連性についての分析に視野を広げて考察を進める。情報政策分野に関する規制の現状等については定期的に研究会に参加し、報告も含めて検討を進めているところであるため、同様の情報収集を続ける予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
23年度において、研究代表者が海外における研究・調査に従事することを目的として旅費支出を予定していたところ、別の事業(頭脳循環プログラム)による研究滞在が認められたため、本研究課題による出張については次年度以降に予定することとし、経費を繰り越した。
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