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2012 年度 実施状況報告書

社会的統制手段論の再検討:法の哲学から秩序の哲学へ

研究課題

研究課題/領域番号 23530009
研究機関名古屋大学

研究代表者

大屋 雄裕  名古屋大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 准教授 (00292813)

キーワードアーキテクチャ / 自由 / 個人 / 統治
研究概要

情報化社会の到来や世界全体のグローバライゼーションによって、個人の行動や存在を規定する「統制」の手段と主体がともに多様化しつつあるとの認識をもとに、現在の法・政治システムの基礎である「個人」の存在に生じる影響を検討した。また、さまざまな統制手段の相互関係を分析することにより、法を含む統制手段によって形成される「秩序」の哲学を構築することを試みた。
平成23年度の研究成果を踏まえ、法・アーキテクチャ・市場を含むさまざまな統制手段について、その主体と相互関係の双方に着目しながら分析を行なった。特に、近代的な統制手段が前提としてきた「個人」の存在とその操作可能性について検討し、否定的な結論を導いた論考を『法哲学年報』に公表した。
また、市場を可能とする制度的枠組と法との関係について、それらの欠如が原因となって市場経済導入に伴う社会生活の混乱が生じた体制移行国の事例について分析することを通じ、すでに発展した市場経済国である我々の観点からは見えにくくなっている関連性について可視化することを試みた。成果を含めた論文が刊行予定となっている。
法の世界においてもグローバライゼーションを契機とした統制主体の多様化と統制範囲の錯綜化という現象が見られるという認識に基づき、近代的な統治システムの直面する危機を乗り越えようとする試みを紹介するとともに新たな分析枠組みを構築することを試みた成果については、一般向けの書籍として刊行する準備を進めている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究成果は論文等として順調に執筆されている。一般向けの書籍に関する原稿執筆がやや遅れている点、執筆・原稿提出済みの論文1本につき共著者サイドの問題により刊行が遅れていることから、上記の評価とした。

今後の研究の推進方策

アーキテクチャなどの統制手段と近代的個人の関係という従来の研究関心をさらに追求するとともに、アーキテクチャと法だけでなく他の統制手段との関係も含めて分析することを通じ、国家による中心的な統制手段である法を主要な対象としてきた「法の哲学」を、さまざまな統制手段によって形成される「秩序」とその手段の関係を分析する「秩序の哲学」へと拡大・再編することを目指す。

次年度の研究費の使用計画

引き続き研究を進めるため、資料購入費、情報の分析・収集に必要となる情報機器類の購入費、資料調査・情報交換のために必要となる旅費について使用する。
また、最終年度であることから成果発表を目的とした論文公表・研究会参加等を積極的に行なうため、主として旅費を使用する。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2012

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件)

  • [雑誌論文] Is There Any Need for the Judges to Go Further?: Comment on Cass R. Sunstein, Beyond Judicial Minimalism2012

    • 著者名/発表者名
      Takehiro OHYA
    • 雑誌名

      Archif für Rechts- ind Sozialphilosophie

      巻: Beiheft 132 ページ: 45-50

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 文脈と意味:情報の二つの側面2012

    • 著者名/発表者名
      大屋雄裕
    • 雑誌名

      駒村圭吾・中島徹(編)『3・11で考える日本社会と国家の現在』

      巻: 1 ページ: 34-42

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 功利主義と法:統治手段の相互関係2012

    • 著者名/発表者名
      大屋雄裕
    • 雑誌名

      法哲学年報

      巻: 2011 ページ: 64-81

    • 査読あり

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公開日: 2014-07-24  

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