平成26年度の当初は、昨年度報告書に記したとおり、ナチズム期の主要な自然保護家が自然保護をどのように意義づけていたのかについて検討を進めた。 このテーマについて、さらにナチズム期以前の天然記念物保存法制の成立プロセス、ナチズム期以降の自然保護法制の展開などについても史料を得るため、夏季に、4週間ほどの史料収集旅行を実施した。ベルリン市公文書館、プロイセン公文書館、コーブレンツ連邦公文書館等で、関連する資料を大量に得た。 その後、上述の自然保護の意義づけをめぐる研究をまとめようとしていたところ、本研究の初年度に公表した日本の国立公園の意義づけについての研究を、2015年10月に開催される国際学会(東アジア環境史学会・EAEH2015)にて報告するという話が舞い込んだ。そのため、その検討と研究のリファインに時間を費やすようになり、上述の研究は中断することとなった。しかしこの研究も、本研究の一環として位置づけられるものである(この点について、平成23年度報告書を参照)。 したがって、当初の研究計画、その後の報告書ごとに記した研究計画は、現在のところまだ完了していない。ナチズム期の自然保護の意義づけをめぐる研究は、EAEH2015の終了後、早急にまとめたい。また平成26年度の旅行で得た史料についても未消化のものがかなりあるため、これらに基づき1~2本の論文を執筆する予定である。 以上のように、本年度は成果を公表することができなかったが、本研究の一環として、学会での発表や論文数本の執筆を予定している。これらが完了するまで、新たな科研費の申請は行わない予定である。
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