研究課題/領域番号 |
23530020
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
笹倉 秀夫 早稲田大学, 法学学術院, 教授 (10009839)
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キーワード | 法解釈 / 判例解釈 / イギリス法 / アメリカ法 / 法律家の思考 / 法解釈講義 / 法学講義 / the legal process |
研究概要 |
本年度の研究実績は、次の通りである。 第一に、イギリス・アメリカにおける法解釈の手法を対象にした定評ある研究書である、Hart & Sacks, The Legal Processや、Vogenauer, Auslegung von Gesetzen,2 Baendeなどを読破するとともに、それらのなかに記述されていることがらを手がかりにして、イギリス及びアメリカの判決において実際に法律・判例がどのような思考様式・手法で解釈されているかを、一つひとつ適当な素材となる判決を探して解析していった。この作業はなお進行中であるが、これまでのところで30近い重要判決が集まり、その中から、報告者がこれまでに日本の法解釈に関して提示した思考回路の図(『法解釈講義』2009年、東京大学出版会、4頁)とまさに同じかたちでの思考回路が確認された。この点については、さらにサンプルを増やしながら、その検討結果を論文化していくつもりである。 第二に、以上の研究をも踏まえて、本年度中の2014年1月に『法学講義』(東京大学出版会)を上梓した。すなわち、その中では、第4・5章において法律解釈に際しての法律家の思考回路の解明をさらに精緻化し、第6章において、とりわけイギリスにおける判例解釈の手法を参考にしながら、日本の判例解釈の思考回路を解析して示した。この第4,5,6章は、これまでの「法学」関係教科書にはなかった記述であると言える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、本研究課題に密接に関係する、350頁の『法学講義』を出版することができた。これは、研究遂行上で、重要な1ステップであると言える。 しかしながら、この出版作業にはかなりの時間を要し、本年度の3分の2は、それのために費消することとなったため、イギリスやアメリカの法解釈の思考回路の分析等は、なお今後にさらに進めるべき研究課題として残っている。
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今後の研究の推進方策 |
研究は順調に進行しているので、今後は、これまでの研究成果を踏まえつつそれらをさらに深化させ、イギリスやアメリカの法解釈の思考回路の分析等を本格的な対象とした論文の作成に取り組みたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
上記のように、本年度は『法学講義』の出版準備にかなりの時間を要したため、それ以外の研究活動に必要な経費が若干未使用に終わった。 未使用の額287,520円は、2014年度中に主に旅費や書籍の購入に係る物品費として2014年度分と併せて使用する。
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