研究課題/領域番号 |
23530021
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研究機関 | 神奈川大学 |
研究代表者 |
小森田 秋夫 神奈川大学, 法学部, 教授 (30103906)
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キーワード | 陪審制 / 裁判員制度 / 国民の司法参加 / 司法改革 / ロシア法 / 韓国法 / カザフスタン法 / ポーランド法 |
研究概要 |
1.2012年9月に、ワルシャワ・モスクワ・アルマトゥ・アスタナに出張し、以下のことを行なった。 (1)ワルシャワにおいて、ポーランドの参審制の実態についての研究書を著したアドリアナ・ブラトニク博士(ワルシャワ大学)と意見交換を行ない、同書に対する反響を含め、刑事司法に対する市民参加についてのポーランドの学界・実務界における空気についての知見を得た。(2)モスクワにおいて、刑事訴訟学者および弁護士から、陪審裁判の実施状況についての聴き取りを行なった(高等経済学院教授セルゲイ・パーシン、弁護士・モスクワ国立法科アカデミー准教授セルゲイ・ナソーノフ、同アンナ・パーニチェヴァ)。その結果、陪審員の選任のレベル、証拠調べと陪審員による判断対象についての裁判所実務のレベル、および訴追実務および陪審裁判の適用対象をめぐる立法のレベルで、陪審の役割を限定しようとする動きが展開されていることが明らかとなった。(3)アルマトゥおよびアスタナにおいて、陪審裁判を3件(それぞれ一部分)傍聴し、弁護士実習=資格向上センターおよびカザフスタン最高裁判所において同国の陪審制および日本の裁判員制度について意見交換を行なった。また、法律雑誌「ユリスト」のインタビューを受け、裁判員裁判について紹介するとともに、カザフスタンの陪審制についての意見を述べた(同紙2012年10号に掲載)。さらに、全欧安保協力機構アスタナ・センターが主催した刑法草案および刑訴法草案についての国際会議に出席した。 2.上記の出張の成果を中心に、カザフスタンの陪審制についての論文およびロシアの陪審制についての論文(いずれも校正中)を執筆した。 3.2012年7月に、連携研究者と研究の打ち合わせを行なった(神戸)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
・これまでの研究の結果、ロシアの陪審制(多数決制の陪審制)、韓国の国民参与裁判(変形された陪審制)、カザフスタンの陪審制(陪審制寄りのフランス型参審制)、日本の裁判員制度(参審制寄りのフランス型参審制)、ポーランドの参審制(典型的な参審制)の位置関係とそれぞれが抱える問題点について整理を与える見とおしを得た。 ・韓国・カザフスタン・ロシアについて、それぞれ論文を執筆した。 ・3名の海外研究協力者との協力関係を確立し、平成25年度に実施する予定の国際ワークショップへの参加について同意を得た。 ・ロシアおよびカザフスタンにおいて、日本の裁判員裁判を紹介する機会を得た。
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今後の研究の推進方策 |
・ロシアおよびポーランドにおける現地調査を行ない、これまで必ずしも十分ではない陪審制を導入した93年法の成立過程にかかわる資料の蒐集(前者)および「参審員評議会」についての情報の蒐集(後者)に努める。 ・ロシア・カザフスタン・韓国の研究協力者を招聘し、国際ワークショップを開催する。 ・ロシアを中心とした各国比較研究の成果のとりまとめを行なう。
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次年度の研究費の使用計画 |
・国際ワークショップに約110万円を使用する 招聘旅費、25万×2名+10万×1名 60万 滞在費 1,8万×4泊×3名 21.6万 国内旅費、謝金、通訳(ロシア語、韓国語)、アルバイトほか 29万 ・ロシアおよびポーランドにおける現地調査(各1週間程度)に約30万円を使用する。
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