インドの司法制度について、とくに裁判外紛争処理制度の一つであるロク・アダラトについて実情を明らかにし、検討を行った。インドと日本との経済的交流が活発化し、民間企業等のインドへの進出も増加している中、その企業活動と密接に関連する紛争処理について、なかでも労働問題の解決にも一定の役割を果たしているとされるロク・アダラトについては、十分な情報が紹介されていなかった。本研究では、現地での聞き取り調査や文献調査をもとに、予想された以上にロク・アダラトが活発に運営され、紛争処理に際して重要な役割を果たしていることを明らかにした。 現地調査では、バナーラス・ヒンドゥー大学法学部やジンダル大学法学部の教員をはじめ多くの専門家の協力を得、聞き取り調査などを実施することができた。また、インド法律研究所などにおいては文献収集を実施し、成果を蓄積することができた。 研究の成果については、関西大学マイノリティ研究センターの発行する研究事業報告書において、「インドにおける正義へのアクセスの拡大とロク・アダラト」と題した論考を発表した。
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