研究課題/領域番号 |
23530026
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研究機関 | 小樽商科大学 |
研究代表者 |
小倉 一志 小樽商科大学, 商学部, 准教授 (20360886)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 憲法 / 表現の自由 / サイバースペース / インターネット |
研究概要 |
本研究は、サイバースペース(ないしインターネット)というメディアを表現の自由の観点から考察するものである。サイバースペースにおける表現活動は、リアルスペースにおけるものと比べて「参入障壁」が非常に低く、また、表現内容をより広汎に伝達できることから、サイバースペースが表現の自由に対して持つ意義は非常に大きいものといえる。 私は、予ねてより、(1)サイバースペースにおける表現内容規制を目的とした(アメリカ・日本の)立法及び判例、学説の検討、(2)サイバースペースをめぐる原理的な理論の検討、(3)「通信と放送の融合」の問題の検討などを行ってきた。2013年度までの研究期間中も、これらの作業を継続するとともに、「コード」(特に、未成年者保護を目的としたフィルタリングソフトウェア)を基軸としたサイバースペースにおける表現内容規制論の「再」構成を(更に)考究してみたいと考えている。 今年度は、インターネット上の「コード」と表現の自由に関する論文、メディア法の教科書(「インターネット上の表現の自由」「インターネット上の名誉毀損」「プロバイダ責任制限法」などの項目を担当)を執筆させていただき、本学の紀要にもインターネット上の名誉毀損的表現に関する最高裁決定(最決平成22年3月15日判時2075号160頁)・ラジオ国際放送に対する「放送命令」「放送要請」の違憲性が主張された事例である大阪高裁判決(大阪高判平成22年1月29日判時2085号86頁)の評釈を掲載することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
私の専門である「表現の自由」をテーマとした論文集・メディア法の教科書に執筆させていただいたほか、インターネット上の名誉毀損的表現に関する最高裁判例の評釈・国際放送に対する「放送命令」「放送要請」の違憲性が主張された事例である大阪高裁判決の評釈なども公表することができたから。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、「(インターネット上の)表現内容規制の国際比較」に関する論文を(最低でも)2本は執筆したいと思っている。1つは、韓国との比較に関する論文、もう1つは、「差別的表現」に限定して、アメリカとの比較を行う論文である。更に、憲法の教科書・法学の入門書の執筆作業も行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度(の後半)は、親の病気などもあり、出張することがままならなかった。次年度は、今年度の分も出張し、自分の研究テーマに関する知見を広げ、資料収集等も積極的に行いたいと考えている。また、私の研究テーマに関連する書籍、ノートパソコン、ソフトウェア等も購入させていただきたいと考えている。
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