①労働基本権付与を目的とした国家公務員法改正法案、国家公務員の労働関係に関する法律案は、民主党政権により国会に提出されたものの、審議未了廃案となった後に、新たに成立した自民党公明党連立政権の下で、再提出の見込みがなくなった。自民党公明党連立政権は、国家公務員制度について、幹部人事の一元化、内閣人事局の創設等を内容とする国家公務員法改正法を提出し、成立させる一方、労働基本権の代償的な機能を果たす人事院の組織に基本的に手をつけなかったことからも、当面、労働基本権付与を前提とする国家公務員制度の改正はされないこととなった。 研究代表者は、民主党政権の下での同法案の基本方針を提起した労使関係制度検討会の座長代理を勤めたことから、その立場を離れ中立的な立場から同法案の学術的分析を行う論文の公表の時期を探っていたが、このような状況の下で、学術的・客観的な分析が可能となったと判断し、再度の文献収集、情報収集作業を済ませて、現在、自治研究誌に公表すべく執筆作業を行っている。 ②労使関係を中心とするイギリス、ドイツ、フランスの公務員制度の調査・研究については、研究代表者の研究室で博士号を取得した周せい久留米大学専任講師、服部麻理子山口大学准教授、薄井一成一橋大学准教授と連携しつつ、調査・研究活動を完了させた。現在、上記3者と協力しつつ、その成果を公表準備中であり、そのうち、イギリスについては、自治研究誌に原稿を提出し、近日、公刊される予定である(校正刷りが出ている)。その後、フランス、ドイツの順で、同じく、自治研究誌に公表すべく、服部准教授、薄井准教授と共同作業を進めている。 ③その他、筆者が編者を勤める刊行物の中において、公務員制度に関する概説等を公表する(校正刷りの段階。寺田麻佑「公務員」・「公務員制度」高橋滋編『Visual Materials 行政法』(有斐閣、2014年中に刊行))
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